本作「接触と沈殿」は一変して、特定の場所や時代を指さず、喜怒哀楽のどれにも属さず、一見何気なく、何も語っていないように見える。しかし明らかにある目的とコンセプトを持って撮り溜められ、配列されている。ポリフォニーと感応に向かって。 【会期】R4…
「酷道ヨサク」シリーズ、第2弾。 今回のヨサクは廃でも酷でもない、生き生きとした姿。実に多彩である。 【会期】R4.10/21~11/1
美大・芸大、専門学校の卒展といえば通例、毎年2~3月に催されるものだが、大阪芸術大学(略称「大阪芸大」)・写真学科の選抜展は秋にも開催されている。今回も、生徒各人の個性的なテーマや手法に基づいた作品が展開された。個人的に興味を抱いた作品・…
東京とYouTubeをベースに活動している写真家・加藤ゆか。自身のチャンネル「東京カメラ」の更新頻度が目覚ましく、YouTuber写真家と呼ぶにふさわしい。だが本質はガチな写真家であり、展示はなんと今年5回目を数える。 作品は、コロナ禍中に夫婦2人で敢行…
関西を拠点に息の長い活躍を続けてきた、写真家・太田順一の特集展である。本展示では5つのシリーズから構成され、それは人の生活の残響を肖像写真のように表し、そしてある種の無常観へと繋げていた。 【会期】R4.8/27~11/6
薬効ある植物を求めた知と流通の歴史は、あらゆる人文学の領域にまたがっていた。古い書物に描かれてきた植物の図像と、植物が実際に繁茂する写真とが、数百年の時空間を跨ぐ物語を紡いでゆく。 【会期】R4.9/17~10/15
2022年7月8日、安倍元首相を銃撃した山上徹也容疑者をモデルとした映画を、安倍元首相の国葬のタイミングにぶち当てて全国各所で上映するという企画。 見どころは、元・日本赤軍メンバーでありパレスチナ人民解放戦線のゲリラ隊にも加わった足立正生監督が、…
大量の写真を取り込んでアニメーション化したり、他者の撮影した写真や動画を元に物語りを加えて作品化したり、活動の目覚ましい映像作家・林勇気の大規模な個展である。 CCO(名村造船所跡地)2階から4階までの広大なフロアを使い、各階で異なる展示形式…
作者も取材先の被写体らも、日本の大学で学ぶ「中国人留学生」である。同じ境遇の士ならではの視点でポートレイト、部屋の中を撮ったドキュメンタリー。本展示では、部屋を借りて住みついても、またすぐに進学や就職で部屋を空けて移ってゆく、その軽さを表…
写真関係者で知らない者はいないであろう、超有名人ロバート・キャパ。戦争への従軍のイメージが強いが、民衆の暮らし、異国、有名アーティスト・・・と幅広く撮影してきた。約100点の展示作品でそれら多彩な写真、特に民衆の暮らしを捉えた写真を振り返る。 【…
昨年に引き続いて今年も精力的に展示活動を行っている「表現の不自由展」、4月の東京、8月の名古屋・京都に続いて、9月は神戸での展示である。脅迫や反対運動が根強いため、いつどこで開催されるのかが事前に掴みにくいイベントだが、今回は幸いにも行く…
暗闇の中で、人々が目を閉じて浮かんでいる。羊膜の中で眠るように呼吸する胎児、そんな無垢さを思わせる肖像写真だ。 【会期】R4.9/3~24
「gallery 176」運営メンバーの写真作家2人(友長勇介、西川善康)が、各自のinput(撮影)した写真を、交代してoutputする試み。 自分の撮った写真を、他の写真家にセレクトからプリントまで一切の判断を委ね、それをお互いにクロスさせるという、写真をや…
家族や記憶との繋がりをテーマ化した写真集の作家を輩出している「Reminders Photography Stronghold」からまた1人、鈴木萌が京都で個展を行った。 緑内障によって光を、視界を失ってゆく父親の人生と視界を表した作品。同テーマの前作では「穴」によって視…
関西にまた新たな写真専門ギャラリーが登場。東京の南青山のギャラリー「Nadar(ナダール)」が、クラウドファンディングによって支援を募り、京都の大山崎に新店をオープンした。 オープン3日後、展示を訪れてみた。こんちは。 【会期】「旅展」R4.8/11~8…
写真作品が少ない国際芸術祭「あいち2022」STILL ALIVEだが、参加アーティストの中で唯一と言ってよい名の知れた写真家・石川竜一と、『いのちのうちがわ』でタッグを組んだサバイバル登山家・服部文祥との再タッグ(+キュレーターは島袋道浩)が見られると…
KYOTOGRAPHIE「KG+SELECT 2021」でも登場した作品《SPIN》、その「普及版」写真集の出版記念展示が「RPS京都分室パプロル」(「Reminders Photography Stronghold」拠点は東京・曳舟)にて開催された。 京町家を改修した黒く背の高い展示空間では、写真集を…
本展示は「KYOTOGRAPHIE 2022」ポートフォリオレビュー「DELTA Award」受賞記念展示である。 街の人々が見せる滑稽な瞬間・「隙」を愛着を持ってスナップし、共鳴を持って写真化する作品。京都・出町桝形商店街「DELTA」での展示は、相変わらずお馴染みのス…
音の空間だったよ~( ´ - ` ) ※筆者はアンビエント音楽を語る語彙と知識がないため、今回は異常に薄いレポートになります。 【会期】R4.6/3~8/21
若手写真家3名を取り上げた「新鋭展」。統一したテーマではなく三者三様の作品だ。 何が「新鋭」なのか? 実は特別な「新しさ」はない。むしろこれまで地道に続けてきた表現が評価され、開示されている。鑑賞者がそこに「今」の眼で解釈を行うのだ。 【会期…
6月でいったん会期終了した展示が、7月中旬から第2期として再開された。特殊詐欺、通称「オレオレ詐欺」を題材とした作品は、作者自身の顔を加工して詐欺の加害者「受け子」と被害者である高齢者との双方を演じ、架空の人物・プロフィールを大量に作出し…
ファッション店目当ての若者が往来する裏原宿、キャットストリート沿いの物件の一室に小さなギャラリーがあり、展示2日目ということもあってひっきりなしに来客が訪れ、賑わっていた。 2002~2004年の最初期の作品と、2013年以降の現在の作品、計14点が展示…
第20回目のアートフェア「ART OSAKA 2022」、大阪市中央公会堂とは別に、大きなインスタレーション作品などは住之江の北加賀屋にある「クリエイティブセンター大阪(CCO)」で展開された。こちらは会期が少し長く6日間となっている。 全17人の出展のうち、…
みんな大好きモディリアーニヽ(^。^)ノ 御多分に漏れず私も何故か素通り出来ない。なんでか見てしまうのなんでだろう。駆け込みで展示観てきましたレポです。 だって 呼んでるんやもん 眼が( ´ -`) 【会期】R4.4/9~7/18
今回で第20回目となる大阪版・現代美術のアートフェア「ART OSAKA」は、「大阪市中央公会堂」と「クリエイティブセンター大阪(CCO)」の2会場で開催される豪華仕様。前者はギャラリーセクションとして3日間、後者は大型のインスタレーション作品展示とし…
シンプルに美しく純度のある家族写真だが、構図が良い、差し込む光の具合が良い、色味が良い、愛情あふれる眼差しの温かさが良い。などと言っていても始まらない。 本作は、作者の身に起きた過去の出来事と、2016年に発表した作品、そして両親が作者に注いで…
客入りが芳しくないまま2部作の前編「SIDE:A」はあっという間に上映回数を激減させて3週間で上映を終え(TOHOシネマズ梅田、6/23終了)、後編「SIDE:B」が6/24(金)より始まった。 「SIDE:B」は五輪開催に向けて動いた組織委員会やIOC・バッハ会長をはじ…
「750日 3000時間の「事実」と「真実」。」硬質なコピー、大会ロゴと映画タイトルのみという叙情性や感動を排したシンプルなポスター。公式サイトも情報は最小限で、パンフレット等もない(会場には売っていなかったが、上映館で販売とのこと。まじすか(><)…
「ビジュアルアーツ専門学校」で約40年間勤務し、2014年から大阪校で校長を務めた作者。2020年3月をもって定年退職となり、新型コロナ禍での自粛と重なる生活(Slow life)を送る中で、自宅で撮られた静物写真(Still Life)を発表する。 また、トークでは…
「庵野秀明をつくったもの 庵野秀明がつくったもの そして、これからつくるもの」、その通りの回顧展だった。 稀代の監督・プロデューサーはどこから生まれたのか? その豊富なサブカルチャーの土壌と現場、そして庵野が関わり、庵野から生まれた名作の数々…