Photo(写真展@関西)
「KYOTOGRAPHIE 2023」メインプログラムをテーマタイトル「BORDER(ボーダー)」から読み解く後編。 続いては「作品テーマ、被写体にまつわるボーダー」へのアプローチ・取り組みの面からKYOTOGRAPHIEを振り返ってみる。
第11回目のKYOTOGRAPHIE 2023(京都国際写真祭)(以下、略称「KG」を使う場合あり)のテーマは「BORDER(ボーダー)」。ここでは全15展示について、どんな「ボーダー」と関わり、扱っているかを概括してみる。
「KYOTOGRAPHIE 2023」サテライト展示「KG+SELECT」レポ。2会場に分けて催されたうち、「京都芸術センター」の4組のアーティストについてレポートする。
「KYOTOGRAPHIE」のメインプログラムと対を成す重要プログラムが、公募で審査員から選出される「KG+SELECT」である。今回は全10組の作家が2会場に分けて展示されたので、会場ごとにレポートする。 まず、「堀川御池ギャラリー」で展示された【A1】~【A6】…
「あれ?大阪芸大ってこないだもハービスENT・ソニーストアで展示してなかったっけ??」 もう1年経ったんかなと己の時間感覚をあやしんだが、10~11月にも選抜展が行われていたのだった。今回は卒業制作の選抜展である。 【会期】R5.3/18~3/31
大阪ミナミの再開発事業を象徴する高層ビル「あべのハルカス」を題材にした作品、2回目の個展となる。 今回の特徴と良さは、これまで作りながらお蔵入りになっていた作品に改めて向き合い、自分なりに整理・構成して表に出したことに尽きる。 【会期】R5.3…
2020年と2022年に東京で発表された「Family Album」と「はっぴぃドッグ」の2シリーズを再構築・併置した展示。家族写真の複写と、日々共に暮らす愛犬の肖像、何気ない身近な存在が語るのは「家族」と「記憶」との関係だった。 【会期】R5.3/22~4/15
展示告知DM、SNS投稿のサムネ画像を見て、デジタル調の絵画作品だと思い込んでいたが、実は川面に反射した光景の「写真」なのだった。つまり川面の揺れと刻みの反復には、「写真」を逸する質があるらしかった。 【会期】R5.3/16~3/26
こういう展示を待っていた。一度で何校もおいしい。 東京と京都・大阪の美術・写真系の大学・専門学校、計10校から、各校1人ずつの作者を選抜した、東西10校・10名のグループ展である。一気に多数の学校の作品が観られるのは有難い。 【会期】R5.3/9~22
昨年2022年11月に東京タワー1階で催された「安倍晋三写真展」が、大阪でも開催されていた。職場で新聞をスクラップしていて偶然気付いたのだ。追悼、活動の軌跡を辿る展示・・・会期は1週間しかない。慌てて観に行った。 【会期】R5.3/15~21
2月7日から1~2週間ごとに展示コースを切り替えながら開催されてきた「写真学科 認定制作 作品展」。第4段目・最終回となる今回は「公募選抜展」、6名の生徒の展示が行われた。 【会期】R5.3/9~3/15
滋賀県出身の川内倫子の大規模個展「M/E 球体の上 無限の連なり」と並行して催されている関連特集展示がこちら「川内倫子と滋賀」展で、特に滋賀と関わりの深い作品、そして県内の障がい者施設「やまなみ工房」を舞台とした作品<やまなみ>シリーズが数多…
地球と私。近代的な写真の主要エッセンスを存分に活かした本展示の作品群は、近代写真の終着点の一端を語るものではないだろうか。 【会期】R5.1/21~3/26
「写真は変成する」展は、大胆に「写真」を慣習や約束事から突き放すように変成・流動させる、刺激的な実験の場である。3回目となる今回は京都芸術大学だけでなく東京工芸大学との共同展となった。 変成、実験、試行と展示。今回は今までになく思う所、考え…
京都芸術大学の卒展・修了展、「写真・映像コース」未来館2階の展示レポです。他のコースの展示も一部あったのだが、数が多い!(嬉しい悲鳴)ので、コースを絞ってお送りします。1Fから更に多彩さを増した「写真」作品が展開されたフロアでした。 【会期…
京都芸術大学 美術工芸学科「写真・映像コース」展示のうち、「未来館」の1階をレポです。2階にも沢山あるので階(回)を分けてお送りします。なお、「総合造形コース」の展示も一部含まれますが、面白かったので一緒に書いています。造形も写真・映像も混…
京都芸術大学(旧名:京都造形芸術大学)の卒展・修了展、「美術工芸学科」の「写真・映像コース」鑑賞レポです。 二つのコースが合体した関係でややボリュームがあるため、ここでは2つの棟で展開されているうち「人間館C棟」での展示(2作品)と、また別…
2017年・第41回伊奈信男賞、2018年林忠彦賞&木村伊兵衛を受賞した代表作「川はゆく」に新作を加えて再編集した「傷ついた風景の向こうに」のほか、「かわいいだけじゃダメかしら」「ニエプス巡礼」「ホームアローン」の計4テーマが紹介された。 【会期】R4…
様々な制限を強いられた新型コロナ禍の「日常」を見つめる中で、大いなる生命力を見出し、作者=写真はより大きな世界に辿り着く。冒頭の古い地球儀はその気付きの象徴である。 【会期】R4.12/7~R5.1/28
1枚の写真に2000回のコピーを繰り返すことで、オリジナル(コピー元)とコピー先は「A=A」の関係からどんどん離れていき、どこかの時点で「A≠A」に至る。 前回までの3部作では複製のプロセスを示し、その前後を比較・対比させて提示したが、今作では次のプ…
2020年の写真展<こころ>で発表されてからも、継続して制作されていたカラーフィルム写真のシリーズ。2022年8月に写真集 『心』(蒼穹舎)の発刊と東京での展示を経て、12月にはこの大阪での展示となった。 写真集は59点、本展示はその中から20枚の作品で構…
フィルム、大判・中判カメラ、鶏卵紙という古典技術を総動員した写真作品。被写体も特別なものではなく、作者の実家のすぐ前の海である。だが写し取られた海の風景は、遠い記憶・心の中に息づいた光景となって表れる。 【会期】R4.12/1~11
葛飾北斎「冨嶽三十六景」の描かれた場所を辿り、それぞれの図を成立させている画面内の「コンポジション」(構成)に注目して、再構築を試みた写真である。デザインと写実の差異が示される。 【会期】R4.12/6~11
前作で、従兄弟と祖母の深いつながりと唐突な死別について表した作者だが、語り尽くしたに見えた死と喪失について時間をかけて問いを重ね、新たな視点と解釈から作品を進展させ、写真集を新たに編み直した。それは多視点を織り込んだ、新しい写真集であった。…
「酷道ヨサク」シリーズ、第2弾。 今回のヨサクは廃でも酷でもない、生き生きとした姿。実に多彩である。 【会期】R4.10/21~11/1
美大・芸大、専門学校の卒展といえば通例、毎年2~3月に催されるものだが、大阪芸術大学(略称「大阪芸大」)・写真学科の選抜展は秋にも開催されている。今回も、生徒各人の個性的なテーマや手法に基づいた作品が展開された。個人的に興味を抱いた作品・…
東京とYouTubeをベースに活動している写真家・加藤ゆか。自身のチャンネル「東京カメラ」の更新頻度が目覚ましく、YouTuber写真家と呼ぶにふさわしい。だが本質はガチな写真家であり、展示はなんと今年5回目を数える。 作品は、コロナ禍中に夫婦2人で敢行…
関西を拠点に息の長い活躍を続けてきた、写真家・太田順一の特集展である。本展示では5つのシリーズから構成され、それは人の生活の残響を肖像写真のように表し、そしてある種の無常観へと繋げていた。 【会期】R4.8/27~11/6
薬効ある植物を求めた知と流通の歴史は、あらゆる人文学の領域にまたがっていた。古い書物に描かれてきた植物の図像と、植物が実際に繁茂する写真とが、数百年の時空間を跨ぐ物語を紡いでゆく。 【会期】R4.9/17~10/15
作者も取材先の被写体らも、日本の大学で学ぶ「中国人留学生」である。同じ境遇の士ならではの視点でポートレイト、部屋の中を撮ったドキュメンタリー。本展示では、部屋を借りて住みついても、またすぐに進学や就職で部屋を空けて移ってゆく、その軽さを表…