Photo(写真展)
京都・四条河原町に2019年12月に開業した「GOOD NATURE STATION」・ホテル棟4Fのギャラリースペースにて、展示『Sync - eternal commons / ephemeral being -』が開催されている。写真家・勝又公仁彦と鈴木崇の二人が、タイトルの『Sync』に基づき、共に作…
会場の壁をずらりと埋めるのは空き地の写真群だ。場所も分からず、主たる眼前の対象もない。不在の風景ということになるが、しかしこれらの写真には多くのものが写っていて情報量はむしろプラス側にあるため、「不在」の語義とこの写真群が現わすものとは折…
美しく暗いモノクロフィルムでの旅写真。タイトルのロシア語「Домой」(ダモイ)は「家へ・故郷へ」といった意味があり、単独で使われる時には「家・故郷に帰る」という意味を持つ。 【会期】2020.12/15(火)~12/20(日)
内倉氏の名と代表作は写真新世紀やEMONの受賞などで、Web越しに度々目にし、神秘的なムードを湛えた赤ちゃんの写真が印象に残っていたが、まとまった数の生作品と対面するのは初めてだった。 本作では表情以前の表情、喜怒哀楽のどれにも当てはめられない、…
『A=A A≠A』(エーイコールエー、エーノットイコールエー)は「1枚の写真プリントAを2000回繰り返しコピーする」手法により、作者の思考を鑑賞者に我が事として染み入らせる。それと同時に、ある具体的な像Aが名状しがたい化け物のような像へ変貌してしま…
会場が白い。 壁面の白さと額装の白、そして写真の白とが雪の世界を演出する。写真はモノクロだが、白と灰色がほとんどで「黒」という色を感じさせない。厳しい北海道の冬、雪が視界を支配する世界が現わされている。 【会期】2020.12/1(火)~12/13(日)
本作『BELL』は、古典『安珍清姫物語』(あんちんきよひめものがたり)を写真で表現した創作的な作品だ。現在の現実に、物語の世界観が乗り移るようにして展開される。プリントがそれぞれ多種多様な額装で提示されているのは、それぞれのシーンが同じ時系列…
新宿眼科画廊で個展を開催中の写真作家・青木大祐(あおき・だいゆう)氏と、インスタライブで作品についてお喋りしました。トークでお聞きしたことも踏まえつつ、トークでは体系化して語れなかった私の感想や解釈をこの場でまとめたいと思います。 かなり独…
岩宮武二の生誕100周年を記念した展示が大阪で2カ所同時に開催された。「大阪府20世紀美術コレクション」の中から、enoco(江之子島文化芸術創造センター)では『佐渡』シリーズを中心に初期作品から写真以外の実験的な作品までを俯瞰的に揃え、BLOOM GALLE…
妹尾豊孝(せのお・ゆたか)、関西・大阪の写真(史)において欠かすことのできない写真家であるが、少し前の世代でもあり、今こうしてまとまった形で展示を観ることが出来たのはとても有難かった。 展示は「大阪環状線 海まわり」と「5,000,000歩の京都」の…
「そっちはどうだい」。はっとさせられる一言だった。 「そっち」と「こっち」が明確に分かれてしまった、ウィズコロナというもうひとつの日常。冒頭1枚目のセルフ・シャドウ・スナップは、作者からの声なき声となって響いてゆく。 【会期】2020.10/20~11/1
スナップ写真を組み合わせた展示は、プリント、スクリーンへのスライドショーの投影、スクリーンから透過した像を受け止めるミラーの3種類の映像から構成されている。 タイトルの『Unveil』とは「ヴェールを取る、覆いを除く」という意味がある。剥されたの…
会場入口のステートメントを読もう。『本展覧会は、トポロジー(位相幾何学)の考え方に着想を得て制作した作品や、別のテーマで制作した作品を、実験的にモンタージュもしくはブリコラージュした展覧会です。』 本作は目には見えず、日常的感性では想像も困…
京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」(以下「KG」)・サテライトイベント「KG+」の中でも別枠、審査制となっているのが「KG+SELECT」だ。この中で更に選考があり、グランプリ受賞者は翌年の「KG」本体のプログラムに出展できる。今年は10組の作家が選出されてい…
「青」に貫かれた作家の、四半世紀に及ぶ活動を凝縮して鑑賞しました。写真の域を超えた作品を観るのは、夜の海を泳ぐような体験でした。 【会期】2020.9/12(土)~9/23(水)
今年3月に予定されていた修了展が再延期となった京都造形芸術大学(現、京都芸術大学)・通信教育部の有志6名によるグループ展が開催され、本来発表するはずだった作品を公開している。それぞれの日常への視点が感じられる作品だった。 【会期】2020.9/12…
ミニドラマのようなタイトルに全てが込められている。今から30数年前、電車を乗り継いで職場へ向かう作者は、通勤中に出くわす見ず知らずの人々を、射し込む光とともに、「同僚」として写真に収めていた。 【会期】2020.9/3(木)~9/9(水)
印象に残るタイトルは、ユダヤ人の詩人、イェフダ・アミハイ『エルサレムの詩』の一節からの引用である。本作は「正しさ」が生じる未満の場で、イスラエル、パレスチナ自治区それぞれの「凪」の姿を捉えている。一方で、写真には確実に「壁」が写り込む。 【…
スタイリッシュなコンテナの写真。無駄のない、洗練された姿は、何を物語っているのか。 gallery 176での個展とトーク内容について、直近の写真集『CONTAINERS IN TOKYO』の内容と比較しつつレポです。 【会期】2020.8/28(金)~9/8(火)
大阪・豊中市の服部天神「gallery 176」にて行われた、甲斐啓二郎個展とトークイベントについて。 前段は展示『Charanga』の感想を、後段は伊奈英次氏とのトークの概略を記録。刺激的な話でした。みなさん、なんしか写真集を自作しましょう。 【会期】2020.7…
【写真展&暗室】フィルムの写真教室OB展「FILM ing」@ギャラリー・ソラリス 写真仲間が、ギャラリー主催のフィルム写真教室を以前に受講しており、そのOBグループ展に出展中。陣中見舞いに訪れると、暗室をレンタルしてせっせこプリント中とのことで、暗室…
【会期】2020.7/18(土)~7/28(火) 台湾の街と人々を捉えたパワフルな写真群は、一期一会の遭遇を固着させる、彗星のような写真だった。なぜ私は「彗星」と呼んだのかを考えた。
【会期】2020.7/16(木)~7/22(水) 「陰」がよく効いたモノクロームで撮られた様々な山の中は、作者自身が山に抱く畏敬の念と相伴って、異界としての姿を現す。
【会期】R2.7/9(木)~7/15(水) 作者は祭りの中に身を投じ、「倫理以前の人間の姿」に達した人々の姿を捉えていく。本展示ではこれまで発表してきた4ヵ国・5つの祭事(イングランド、日本、ジョージア、ボリビア)のシリーズをダイジェスト版のように特…
【会期】2020.6/30(火)~7/8(水) ブラウンに褪せた色調に統一された大型の作品が並び、精密な絵画の世界に迷い込んだように感じた。だがよく見ると細部を描き出しているのは筆致ではなく、映り込んだもの――映像であった。
【会期】2020.6/5(金)~6/14(日) 真っ赤でレトロな列車が青空を射抜くように映えて、印象に残る。その印象は、日本の無数の「地方都市」の像と重なってゆく。
【会期】20204/11(土)~7/5(日) 「山は人間が生き延びるための根源的な叡智を引きずり出してくれる。」まさに本展示を観て、最初から最後まで反芻していたのが「人はなぜ、山に登るのか?」という問いだった。
【会期】R2.5/26(火)~5/31(日) 旅と猫のお時間です。猫は可愛い。 可愛いけれども、それだけじゃない。
【会期】2020.4/4(土)~6/6(土) 桜、花見の写真であるから、どうしても今年の春、そして昨年までの春を思い出すことになり、写真を通じて「今」の空白を見ることになったのだった。
【写真展】石場文子「zip_sign and still lifes」@Gallery PARC(京都) 「あいちトリエンナーレ2019」でお目見えした作家が京都で個展を展開。被写体となるモノに直接、太い輪郭線を書き込んだ上で写真を撮る作品が特徴的だ。 【会期】2020.4/10(金)~4…