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ねこが超です。主に関西の写真・アート展示のレポート・私見を綴ります。

【WS】R2.5/6(水)勝又公仁彦 遠隔オンラインワークショップ第1回(講師:鈴木崇)

【WS】R2.5/6(水)勝又公仁彦 遠隔オンラインワークショップ第1回(講師:鈴木崇) 

皆さんZoomって知ってますか。

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こういうやつです。1人しかいないと全然わからん。

写真界にもZoomの波が来ています。Zoom上での写真講評ワークショップに、オーディエンスとして参加してみました。

 

1.WSの概要

5/6(水)昼の13時より開始されたZoom上でのワークショップは白熱し、19時半近くまで続きました。 

 

講師は、主催の勝又公仁彦氏、ゲストの鈴木崇氏のお2人。

お2人は、京都芸術大学(旧称:京都造形芸術大学)・通信教育部での繋がりかと思います。ワークショップ自体は、大学とは別枠の企画です。

参加者の多くも卒業生のようだったので、アットホームな空気が漂っていました。「ハードなコメント、ソフトなコメント、どっちがいい?」「ハードでお願いします!」というやりとりがありつつも、終始フレンドリーな空気でした。

 

参加者は総数30名近くで、8名が作品の講評を受け、約20名はオーディエンスとしての参加でした。

 

オンライン講評ということで、作品は主に「画面共有」機能でスライドショーで見せ、口頭で作品のコンセプトや制作動機を説明し、そのプレゼンを元に講師が確認を交えながらコメントしていくものでした。講師は、取り組み状況や活動の経歴、何を目的として作品制作を行っているかなどを確認し、各人の立ち位置に合った指摘とアドバイスが行われていました。

 

講師コメント、特にゲストの鈴木崇氏が中心となっての指導でしたが、その芯はシンプルです。

超ざっくりまとめると、

 

・「我がこと」を普遍化させる(=他の人が入って来れる)にはどうすれば良いかを考える。

・「自分が何をしているか」をクリアにする。

・結局「自分がやりたいこと」をやるのが一番。

 

それは作家個々人が、自分はどうなりたいか、写真をどうしたいか、そのゴールの置き方によって変わってくるものと思われます。ガチの「アーティスト」として現代アート的な文脈で戦いたいのか、個人的な思いを整理したいのか・・・ それ次第。

 

また、写真界、アートシーンの動向として、評価されるスタイルやテーマはその時々にあり、話題として旬でなくなったもの、既に語り尽くされたものについては、改めて注目してもらうために見せ方・出し方を工夫する必要があるとのこと。ただし、今評価されている手法やテーマがそのままずっと評価されるわけではない。

すなわち、「自分がやりたいこと」「自分が心地よい手法」を実直に貫くのが一番良いという結論になります。

まあ、やるしかないし、やっていくしかないわけです。私は個人的にそれをカルマと呼んでいます。この会でも「業」(ごう・カルマ)という語が何度も飛び交いました。「作家」とか「表現者」とは、そういう生き方をせざるを得なかった者どものことなのでしょうね。やっていきましょう。

 

 

さて、オンラインでの写真講評は初めてだったので、聴講していて個人的に気付いた点などをまとめておきます。

文字で書くと簡単ですが、Zoom(=Web画面)ならではの独特な環境があり、対面でのリアル講評よりも難しい点や、その逆で利点もありました。

  

2.オンライン講評の難しい点

まず1点目は、Zoom画面なので、「写真」のイメージ共有が難しいこと。

 

Zoom画面内では、作品は「Web画面の画像」として見ることしか出来ません。画像となっているのはプリント前のデジタルデータ、もしくは作品の複写です。つまり現物の「写真」とは別物です。ディテールや質感が良く分からないし、作品に装飾や加工が施されている場合はそれも全部平らになっている。

後に、作家氏個人のHPを見に行ったところ、そこで上がっていた作品はZoom内で紹介されていたものと、全く異なる見え方だったので、たいそう驚かされたりしました。うわあ。全然ちゃう。とろみ、奥行きが全然違う。これは別物やないか。うわあ。

映像の奥行き感やダイナミックさが、Zoom画面では見えなくなるんすわ。これは講師の力量かなり必要になるなあ・・・。

 

私も3~4月は、所属している「写真表現大学」のにて、「Facebookのコミュニティ内にアップされた生徒各位の作品の画像に講評の投稿を行う」というのをやりましたが、神経をすり減らして大変でした。ディテール、質感、大きさ、構成の分からんものに、不用意に発言なんて出来ませんねん。Web講評の限界ですね。

なので「作家としてのスタンス」「目標の設定」「ステートメント、プレゼンとの齟齬」を確認、指導するというのが、基本的な路線になるなあと。思った次第です。

 

 

2点目は、見せ方がスライドショー形式、流れ・順序・枚数がほぼ固定されることです。

 

写真の講評ではよく、机上に写真を広げ、そこからああだこうだ言いながら並べ替えたり、ペアやトリオを作ったり、ブロック分け・ブロック崩しを行ったり、すなわち軽い「編集」をかけて、写真の声を引き出すことが試みられます。類似したイメージが多すぎる場合は引き算で候補を絞り込み、場に出ている枚数が足りない場合は「もっとないの」と出させて再セレクトする。

そうした仮編集の試行錯誤が出来ない分、Zoom講評は難易度が高いように思われました。(事前に準備しておけば出来るのかも知れませんが)

有象無象のカットをゼロベースで試行錯誤したり、「展示のレイアウトを構想したい」という場合はやりにくい気がしました。

 

逆に、見ていく流れの方向が決まっているポートフォリオ、フォトブックの講評だと、Zoomは向いてるかと思います。が、やはりその場で並びを組み替えられないので、踏み込んだ具体的な指導というよりは、作家としての心構えとか、その作品で言いたいこと、目標・目的の設定についての確認などが主になるのかも知れません。

 

 

3点目は在宅という環境ゆえ、自室でずっと座って聴いてるとだるくなりやすい点。

 

( ´ - ` )家だるいねんな。ハイになるお香でも焚こうか。(だめです)

リアル講評では、立ったり座ったりウロウロして体を動かしてるし、緊張感もあり、たまに説教や口論もあって「うわあ、」となるので、結構刺激があって集中してるもんですが、自宅でくつろぎながらというのは良くも悪くもしんどいものです。

これは人間の身体が在宅ワークに慣れてくるとか、Zoomに最適なライフハックスキルが出てくると(1コマ40分で切って5分休憩が最適、とか)、慣れてくると思われます。ハイになるお香とか(だめです

 

 

3.オンライン講評の利点

Webならではの利点もありました。

 

まず1点目は、聴講者がその場で即・メモを打てる点です。

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(Zoomで聴講中にWordでメモを取っているの図。これが楽。)

 

Zoomの横にWordを開いておいて、指導をリアルタイムでタラララッとメモしていく、これは楽です。リアル対面講評より早くて楽です。字の汚さも関係ない。

 

2点目は、情報共有・検索がその場でできる点です。

指導中に参考事例と挙げられた写真家、写真集、多ジャンルのアーティストについて、即・Web検索に掛けられるし、Zoomの「チャット」機能を使って画像URLをメンバーに共有できる。これは速いぞ。対面の講評中では気を遣うのであまりスマホ触れないですけど、これなら気を遣わなくていいです。 

 

3点目は、「チャット」機能でコメント・質問が投げやすい点。

基本は、講師とアドバイス中の受講生とが1対1で喋っていますが、疑問点・不明点があった際にチャットで一言投げておくと拾ってもらえるのは、聴講者にもメリットがあってよいですね。どこまでのどういったコメント参加を認めるかはルール設定次第。

 

あと4点目としては、「入退室自由」、自分の都合に合わせて参加できることですね。Zoomの基本的な環境ゆえに。

ただこれは「人付き合い」の面も大きいので、会・メンバー構成によっては「抜けたら気まずい」という場面もあるだろうし、そのへんは会の性格をどう位置付けるかの設定が肝かと思います。このワークショップでは最初からフリーとアナウンスされていたので気が楽でした。(貧乏性なので最後まで聴講しましたが。)

 

これは表裏一体でデメリットにも通じていて、「自由」ゆえに、自分の時間をダラダラ無限に使ってしまう恐れもあります。

 

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簡単にですが、Zoomオンライン講評会についての感想や気付きは以上のようなものでした。

 

何と言ってもやはり、事前のルール設定と、講師の指導スキル・経験に拠るところが大きいという感じがします。今回のワークショップはベテランの先生方だったので、スムーズに流れていきました。

 

自分が逆の立場(=人の写真にオンラインでアドバイスする側)ならどうするか、と想像してみましたが、指導経験もロクにないので、難しいと思いました。デメリットの項で述べた通り、写真のディテールが分からない、提示されてるスライドショーしか確認できないという中では、的確な指導は、慣れた人でないと難しい。餅は餅屋。

 

しかし今般のような、「人と会う、人が集まること自体が危険」という未曽有の状況で「写真」をやろうとするなら、オンライン会議ツールは不可避の「場」であることは間違いないと感じました。

 

 

言うてる私がZoomめっちゃ苦手なので静かにしておきます。

  

 

( ´ - ` ) 完。