nekoSLASH

ねこが超です。主に関西の写真・アート展示のレポート・私見を綴ります。

【写真展】R4.6/26~7/30 上田順平「形見の鏡」@ビジュアルアーツギャラリー大阪

シンプルに美しく純度のある家族写真だが、構図が良い、差し込む光の具合が良い、色味が良い、愛情あふれる眼差しの温かさが良い。などと言っていても始まらない。

本作は、作者の身に起きた過去の出来事と、2016年に発表した作品、そして両親が作者に注いできた眼差し対する「鏡」である。

 

【会期】R4.6/26~7/30

続きを読む

【映画】R4.6/24公開_河瀨直美監督「東京2020オリンピック SIDE:B」

客入りが芳しくないまま2部作の前編「SIDE:A」はあっという間に上映回数を激減させて3週間で上映を終え(TOHOシネマズ梅田、6/23終了)後編「SIDE:B」が6/24(金)より始まった。

「SIDE:B」は五輪開催に向けて動いた組織委員会IOC・バッハ会長をはじめ、現場を支えた人達を捉えた映像集で、相変わらず重要な記録となっている。だがアスリートの内面や実情を語った「SIDE:A」と比べると、本作はより東京2020オリンピック」の政治的本質に関わるところでもあるため、注意点がある。

続きを読む

【映画】R4.6/3公開_河瀨直美監督「東京2020オリンピック SIDE:A」

「750日 3000時間の「事実」と「真実」。」硬質なコピー、大会ロゴと映画タイトルのみという叙情性や感動を排したシンプルなポスター。公式サイトも情報は最小限で、パンフレット等もない(会場には売っていなかったが、上映館で販売とのこと。まじすか(><))東京五輪の記録映画ということだけが分かる。

「SIDE:A」と「SIDE:B」の2部構成で異なる視点からの記録が行われたうち、アスリート側の記録を物語るのが本作「SIDE:A」だ。

続きを読む

【写真展&トーク】R4.6/17~28 村中修「Still Lifes on Slow life 2020-2022」@gallery176

ビジュアルアーツ専門学校で約40年間勤務し、2014年から大阪校で校長を務めた作者。2020年3月をもって定年退職となり、新型コロナ禍での自粛と重なる生活(Slow life)を送る中で、自宅で撮られた静物写真(Still Life)を発表する。

また、トークでは学生時代(当時「大阪写真専門学校」)に出会った、写真同人誌『地平』に代表される70年代の写真状況、大阪の写真文化を踏まえ、教員となり現在に至るまでの作家活動が紹介された。

 

【会期】R4.6/17~28 / 【トーク】R4.6/17

続きを読む

【展示】R4.4/16~6/19「庵野秀明展」@あべのハルカス美術館

庵野秀明をつくったもの 庵野秀明がつくったもの そして、これからつくるもの」、その通りの回顧展だった。

稀代の監督・プロデューサーはどこから生まれたのか? その豊富なサブカルチャーの土壌と現場、そして庵野が関わり、庵野から生まれた名作の数々について多くの資料が明かされた。ルーツとなる特撮番組、学生時代の作品、関わったアニメ作品、旧エヴァ、新エヴァ、そして『シン』シリーズ…

【会期】R4.4/16~6/19

続きを読む

【写真イベント】R4.6/11 大阪写真月間2022 記念シンポジウム「美術館における写真コレクション 中之島美術館を中心に」(飯沢耕太郎、菅谷富夫)

「大阪写真月間」では、2004年から毎年、写真家や評論家などの写真関係者を呼んで記念シンポジウムを開催している。今回は、写真評論家・飯沢耕太郎氏と大阪中之島美術館・菅谷富夫館長が登壇し、日本の美術館で写真が取り扱われるようになった歴史と、大阪中之島美術館における写真作品のコレクションについて講演が行われた。

 

【開催日】R4.6/11(土)14:00~16:30

続きを読む

【写真展】R4.5/14~6/18 川田喜久治「地図」@The Third Gallery Aya

関西で川田喜久治の写真集『地図』を4バージョン比較して鑑賞できる、非常に貴重な機会。プリントも写真集も、同じイメージがどれもまた異なるビジュアル世界として迫ってくる。黒の凄み、影の凄み。戦後日本が切り拓かれた、閃光の瞬間の影、ゼロの地点を見た。

【会期】R4.5/14~6/18

続きを読む

【写真イベント】R4.5/28 写真作家ポートフォリオレビュー(速水惟広氏 呼び掛け)桑迫伽奈、塩原真澄、鈴木かずなり、ほんだのりこ

T.I.P(TOKYO INSTITUTE OF PHOTOGRAPHY)、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOファウンダー・速水惟広氏の呼びかけで集まった、写真家4名のレビューをさせていただいた。

 

「写真をやり始めてまだ間がない方々かな」と思っていたら、しっかりした受賞歴や展示歴があり、既に自分のテーマや手法を確立している方々であった。アエエッッ。強者だ。あかんこれ気合入れなやばい。アエエッッ。

皆さん、今後の活躍でまた出会う機会も大いにありそうなので、作品についてレポします。

【開催日】R4.5/28(土)19:30~21:00

続きを読む

【写真展】R4.5/11~28 「生誕110年記念 新山清 写真展|Kiyoshi Niiyama's Eye #02」@BLOOM GALLERY

戦前~戦後60年代まで、非常に幅の広い写真を撮りまくってきた新山清。

生誕110年という節目の年ゆえ、今年1月には「リコーイメージングスクエア大阪ギャラリー」で、そして「BLOOM GALLERY」でも4月と5月で趣向を変えて、2期に分けて回顧展が催された。

この「#2」・展示第2期では、「主観主義写真」に分類される作品が特集された。

 

【会期】R4.5/11~28

続きを読む

【写真展】R4.5/20~29_前川朋子・宮脇慎太郎「双眸 ―四国より―」@gallery 176

四国を生活・撮影の拠点としている2名の写真家が合同展示だ。関西から近くて遠い「四国」を、写真家はどう語るのか。キーワードの一つは「自然」、もう一つは「暮らし」だろう。

と考えていたが、書いていたら全く異なる観点に進み、「地方」を語る写真(家)側の文体と、それを鑑賞する側の「受け」の文体が必要なのだという気付きに至りました。詳しくは以下をお読みください。くわいか(kwik)。

 

【会期】R4.5/20~29

続きを読む

【写真展】R4.4/23~5/15 波多野祐貴「隠れてはない 見えていないだけ」@PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA

2019年頃から「台湾」の街角で風景や人物を撮り、その色と煌めきを影・闇の深さのコントラストによって印象的な作品としてきた作者。このたび、一転してかなり地道な、従来作からすれば地味とすら言える写真をあえて提示した。

 

本展示には「歴史」への気付き・認識の態度が込められている。

R4.4/23~5/15

続きを読む

【写真展】R4.5/14~6/7 深瀬昌久「猫になった男」/【Talk】トモ・コスガ「猫を巡る深瀬昌久の写真表現」@PURPLE

《ベロベロ》《サスケ》《遊戯―A GAME―》の3シリーズからセレクトされた展示で、深瀬が「猫」になる――

展示キュレーションは深瀬昌久アーカイブス」の創設者・ディレクターであるトモ・コスガ(以下、呼びやすく「トモ氏」と呼称)が実施し、展示初日の晩にはトーク「猫を巡る深瀬昌久の写真表現」にも登壇。深瀬という写真家を「猫」の観点から読み解き、写真から見える深瀬像を深化・構造化させてみせた。

【会期】R4.5/14~6/7 /【トーク】R4.5/14(土)17:00~19:00

続きを読む