第8回となるアートイベント「木津川アート2023」、前2回はほっこりローカル・瓶原(みかのはら)が舞台だったが、今回はコンセプトを一新し、学研都市のテクノロジー・サイエンス・教育の分野と人々や歴史とを、アート(アーティスト)が結びつける企画となっている。つまり舞台がめっちゃ都会になった。わあい。
- ⓪JR木津駅周辺~PLANT
- ①抱月工業/総合案内所、◆西村怜奈
- ②関西光量子科学研究所/◆外礒秀紹
- ③きっづ光科学館ふぉとん/◆風吹大樹・テクマク、安藤英由樹
- ④タツタ電線/◆中島和俊
- ⑤Lire 幡 離れギャラリー/◆林智子
- ◆余談:ランチは「ぐすたーれ」
- ⑥ロートリサーチビレッジ京都/◆葛本康彰
- ⑦州見台公園/◆服部正志
- ◆木津、過去の姿
- ⑧旧ボタン工場 ~ ⑪十輪寺
- ⑬ガーデンモール木津川1F/◆池口友理
- ⑫上人ヶ平遺跡公園/◆奥中章人
私が来たことのある「木津川アート」は過去2回、2018年と2021年である。エリアが広く、作品数も多いため、全体のレポは残せていないが、田舎をめっちゃ堪能したのであった。きゃっほう。写真関係の展示についてのみ以下の通り。
田舎である。これは「みはのはら」への賞賛の言葉だ。山と川と田畑が満ちていて神社が君臨していて、開放感が深かっただよ。拘束され罅割れた心に潤いが戻るような気持ちで。ベタな言葉で言えばリフレッシュされた。ああん( ´ k` )
さて今回は全13のプログラムで構成されており、そのほとんどが「関西文化学術研究都市」、いわゆる「学研都市」として大規模開発された地を舞台としている。Google Mapでうすうす気付いてはいたが、いざ現地を回るとこれまでと全く違う世界だったので、私はびっくりした。語彙が足りない。
展示エリアは、最寄り駅(JR木津駅)から離れ、企業や工場の施設群を抜けて歩いてくるルートとなっている。散策というよりもほぼ一本道となり、無機質な企業・研究施設の敷地と大通りを歩きながら作品を見ていく。
道中は徒歩でいけるが、帰路はバスが必須だろう。歩きましたわ。健康になるんや。
⓪JR木津駅周辺~PLANT
JR木津駅が公共交通機関の拠点になります。ここで地図をゲット可。
作品は駅からかなり離れているので、ロータリーから出ている無料巡回バスを使わないと、徒歩はむりです。なお時間が合わない人は無料でない通常の巡回バスを使ってもいける。
ATMに用があり、少し駅前を反対方向に歩きましたが、まあこれが再開発されまくってて、浄化後の世界という感がすごい。ま、まさかこれほどまでとは。駅構内にも駅すぐそばにもコンビニ・ATMが無いというのに、ずどんと真っ平。虚無だ。コンビニぐらい誘致しろ。
バスによって運ばれ、ショッピングモール「PLANT」駐車場に来ました。きょ、虚無が・・・。虚無が広がっている。この駐車場で車からアクセスしてきた客をバスに回収する。
前回までの「木津川アート」と違いすぎてびびった。私がその時の印象と、JR駅ホームから見える鄙びた景色から、「木津=いい感じの田舎」と思い込んで生きてきたので、現実の落差が激しい。どんだけ山をけずったんや。この後もだいたい人工的な風景が延々と続いているので筆者は白目をむいてk(略
( ´ ¬`)
①抱月工業/総合案内所、◆西村怜奈
バスでまず一番離れた「抱月工業」(ほうげつこうぎょう)という工場に行き、そこから冒険が始まります。名前がポエジーでいいですね。抱いて(混乱
人工的な街です。これが永遠に続く、学研都市・木津川市。
木津川アートの「総合受付」は地図を配布しているぐらいだった。あとガチャがあった。それ以外の販売などはない。イベントオリジナルグッズなどを求める人はスポット⑧「旧ボタン工場」に行くように。
そして「抱月工業」さんの技術紹介。
メタルですね。男子は大好きメタル。もうメタル加工ならなんでもやってくれる気がする。「鋼板の切断・穴あけ・曲げ・溶接等の金属加工を行っている会社です」はい。何でもやってくれる。頼もしい。惚れる。
椅子がめっちゃ置いてあるのも「抱月工業」さんの仕事と思われる。
作品vs椅子。ポジションの奪い合いが始まった。
だがさすがは企業製の椅子、くうきをよんで、作家の作品を主役として取り巻いている。広場中央に立つ家が作品:西村怜奈「銀河系太陽系地球アジア日本京都府木津川市梅美台8丁目2-3 芝生広場」である(長い)。
もはやオブジェとしての作品名ではなく住所:地点名なのが意味深だ。地球を感じろ、ということなのだろう。了解。
家の中には木津川市の街がある。
力のある造形物の集まりだ。「手」で作った街/オブジェの存在感、線や面がゆらゆらしているため、空想的さとリアルに創作した物としての力が合わさっている。だが空想ではなく現実的な要素がちゃんと入っていて、街を貫く線路と列車、建物の看板、木津名物バベルの塔・・・。
なお、この家は「抱月工業」さんが設計、フレーム制作、セメント・漆喰塗りなどを支援。「山城織物協同組合」さんが家の中のふすま紙を支援。すごい手がかかってる。
さてここから次のスポットまで歩いていく。展示を観たら歩く。これをくり返すのが本日のクエストである。
しかし、街の全てが本当に人工的で、人口の平面の上に「自然」要素をまぶしてあるから、余計に人工的さが際立つのだ。しかも全部大きいからもう。ヒャッハハハハ(混乱
( ´ ¬`) 人工があふれる街。
②関西光量子科学研究所/◆外礒秀紹
学研都市のおそろしさを味わいながら歩きます。なんか人工物で過剰に固められた感じが強いのは、空と地面と建物とがフラットに、単調に合わさっていて、抑揚がないことが要因として挙げられるだろう。
( ´ ¬`) たいらやね。植物も平ら。木津たいら氏。
土地に余裕があることで、建物が高層化せず、ことごとく平たい。植物も整然と並んだ街路樹と芝生、あまり乱れのない雑草。そもそも元の土地をフラットに削り込んでいるから何をどうやってもフラットになります。これ人間が滅んで千年、二千年ぐらい経ったところで、ずっとこんな感じなのでは。開発って怖いな。
そんな「関西光量子科学研究所」さんの敷地、フラットな法面に、作品が登場。外礒秀紹の作品群である。
全部で4体あり、「KAZENOFUKUTOKORO」「KAMINOKATATI」「Sine」「人・空」と名前が付いている。
どれも自然の力:波の形を元に、水面や音、光の形がモチーフになっている。このまま研究所の敷地にずっと安置しといていいのではないかと思えるぐらい合っている。今回のテーマ、学研都市とのコラボレーション=自然と科学の合わさった世界観であることを象徴付けるものだ。
特に1・2枚目の写真にある、色の付いた波面のオブジェは大きくて見事だ。うねりの物理が気持ちよく再現されている。次元クリオネと命名。科学はいいぞ(計算ができません。)
③きっづ光科学館ふぉとん/◆風吹大樹・テクマク、安藤英由樹
こちらは別枠でレポ済。
ああたのしかった。量子論でしたね。
周囲の街並みは相変わらず開発都市という感じで整然としている。「開発と整然の何が悪いのか」「お前も住宅街に住んでいるのでは草」というお叱りの声をいただk うsっせえうっsseえうssせえええ 想定問答です。実際には何も寄せられていません( ´ ¬`)そんな知名度ねえんだよウチは。
はいこれが木津川市の誇るバベルの塔です。「木津南配水池」という施設で中には入れませんバベ。今回のイベントとは無関係なれど、木津川市がどういう地であるかを知るのに不可欠な風景だバベ~。ここは神の地なんだバベ~。 人生ウン十年やってきたのにキャラが定まってない。
④タツタ電線/◆中島和俊
これも完璧に企業の常設オブジェにしか見えない作品。見事だ。無駄がない。シンプルで無機質なオブジェは学研都市によく合いますな。
中島和俊「スクラップの上に山」。ガレージのじゃばらの門ではない。これも「抱月工業」さんとのコラボで、製造工程で出るスクラップ鉄板を土台に使い、自身が制作したスチールフレームをその上に合わせている。
絶対なんかこれ見たことあると思ったら、「木津川アート2021」で、恭仁京の広場に置いてあった白い鉄柵の回廊、あの作者さんですか。でした。
スクラップの廃材ってかっこいいんだなと実感。作家、特に美大生なら、こういう素材がもらえたら喜んで欲しがると思うが、これはこれでどうなんすかね、リサイクル業者に買い取ってもらってるとか、製造工程で機械的に回収→まとめて処分に回すことで効率的にコストダウンを図っているとか、色々あるかも知れない。
作品を通じて「廃材」という存在と、人や企業との関係について考えさせられたのだった。考えても何も出ません。ギャルになりたい。
郊外。
( ´ ¬`) こういう風景、田畑と空き地と林とが、もっとあると思ってたんすよ。これを欲していました(吐露)。
ここまで徹底的に浄化しなくてもいいやん・・・ 無機質な光景だけがずっと続いている街、Kizu。なぜこんなことに。国だ。国策がこうしたんだ。ゥウッ。これでも円安はおさまらないんや・・・。
⑤Lire 幡 離れギャラリー/◆林智子
「ライアーはた」、って一体何なんだ、と思ったら「リラ ばん」だった。フランス語。。。そんな高貴な言葉は伝説でしか聞いたことがない。夷ですんまへん。
店の方は、ていねいな暮らしをそのまま体現したような衣服や食器、小物の販売と、ていねいなご飯。
余談ですがマイナスていねいを目指す私達は、後にアメコミみたいな店ですごい色のついたソーダ飲んだり生パスタを食べてヒャッハーしました。美味かったす。
さて肝心の展示は、離れのギャラリースペースにある。あるというかスペースがそのまま作品である。
扉を閉めると真っ暗になり、壁に映し出された丸い映像だけが色と光を残す。水面のようで揺らめいている。水がチリチリと流れ落ちる音が響く。見えない暗闇に水が響く。
ステートメントによると、フィールドワークを通じて出会った木津川の砂や、木津の鹿背山(かせやま)の里山に咲く笹百合をモチーフとした作品だという。
暗い。真っ暗です。
へたに歩き回るとそのへんに当たる。あだっ、暗、目がぜんぜん慣れへん、
他の客が出入りする時だけ明るくなり、むちゃくちゃ明るくなるので全体がどうなっているかやっと分かる。映像の投影されていた壁の辺りには台があり、砂と瓶、レンズが組み合わせて置いてあった。これ慣れだけで見えるようになるのめちゃ時間かかるんじゃないか。
◆余談:ランチは「ぐすたーれ」
「逆ていねいな暮らし」を標榜する私達は「気取らず飾らずありのままの私達」でいたいと願い、しかし腹が減ってきたので、適当にやれるお店を探し あっ?
からあげを標榜する、アメリカ児童向けキャラを多数配した、生パスタの店!
ここだ!「ぐすたーれ」!
( ´ ¬`) 大丈夫なのだろうか??
アメ村を上品にしたような、アメリカ子供向けキャラグッズだらけの店内。キャラだらけである。これで飯食うとかどうなってしまうのだろうか。
というのは杞憂であった。
( ´ ¬`)ノ 生パスタふつうにめっちゃうまい。
あかんうまい。うまいうまい。
こだわりの生パスタ、クリームが濃厚で、麺もすべすべ、噛み応えもちもち、だめだ。だめ人間になる。アメリカ全く関係ない。アメコミと生パスタのコンビネーションはなんていうかなんて言ったらいいんだ。わからん。
( ´ ε`○ ) kawaii.
⑥ロートリサーチビレッジ京都/◆葛本康彰
ロート製薬の研究施設に作品があるという。しかしこの建物の形状、非常に凝っている。よすぎる。
よすぎる。なんやねんこれは(悦)
なんだかんだでどの施設も建物がしっかりしており、学研都市のブランドのようなものを感じた。これは歩き回らないと見えてこないことだ。今回、会場を大きく変えたのは正解だったかもしれない。正解が定まらない私。ええんや。正解は一つではないんや。
葛本康彰「冬は結晶の中に、結晶は空の中に」。ロートさんのド真ん前に鎮座するモザイク状のデカ作品、しかしこれは妙に単調だが一体何のモチーフだろうかと訝しんでいると、表面にディテールが刻まれている。
霜の結晶の痕跡を塗料によって定着する作品であった。え? どうやったん。そんなことできるんすか。まあ・・・ したんでしょうな、このギザギザ、このザラザラ、うーん確かに霜だ。霜です。
作品はもう1点ある。「濾過した空は虹を為す(こともある)」、写真作品だ。だがどこを見ても、ない。え。どこ。エントランスの中じゃないだろうな。そんなところにはない。閉まっている。
ないぞ。ええ・・・
駐車場にでもあるのか? いや駐車場てめっちゃ上やぞ。
仕方ないので進む。
あった。
道を90度曲がった先の法面にあるから全く見えなかった(´・_・`)
あってよかったけど
なんかこう、、、これはちょっとさみしぎるというか、
それ以前に変な角度がついていて何が写っているか見えない。
あの虹色は、ロート製薬の眼薬の容器に透過させた太陽の光を被写体としているらしい。企業コラボ品でした、重要な作品です。中身をよく見ないとだめや。正面から見ないとだめ。
法面登ったらええねんや(極論
う~~~~ん、、、
かなり近付いて仰角を打ち消すと、写っているものが見えたが、どうも太陽光に打ち消されていて、被写体が白いのかリアルの反射で白いのかよく分からない。
この作品は抽象的な写真であるがゆえに、いっそう、正面から何が写っているかを具体的によく見る必要がある。ロート製薬・目薬の容器が写っていればその質感を、太陽の光のみであれば容器との干渉による光の表情の変化をよく見てみたいところだ。いっそ普通に個々のプリントを額装してロビーに掛けてあっても、その方が説得力があったかもしれない。
最後のチャレンジで、反対側から離れて見てみた。
う~~~~~~ん。
ラスト、帰りのバスの車窓から見たところ。
(><)どの角度と位置から見てもちゃんと見えない。
ロート勿体なかったな、、ポテンシャルはあったのだが、、
写真のことになるとうるさくなってすいません私。
⑦州見台公園/◆服部正志
ゆけゆけ学研都市。ほぼこういう街です。シムシティみたいな街だ。またディスりはじめててすいません、都市と自然のことになるとうるさくてすいません。万事うるせえ。
「州見橋(くにみばし)」という大きな橋を渡る。そんなでかい川があるのか、と思ったら川どころではない、下に道が通っている。橋は新設された大通りで、街が二重構造になっているのだった。どういう規模の開発なんだこれは。
開発が地形レベルだったことを知って本気でへこむ私。どうなってるんだここは。新宿西口じゃあるまいし。この橋と下の掘り込み(道路)、すごい広くて大きいんですよ。昔からある奈良街道に繋がる道が下で、橋は開発時に新たな街として追加されているようだ。街オン街。
( ´ ¬`) 梅田や天王寺をいじくりまわされても何とも思わないんだが、地方・田舎をハイパー都市化されると、へこむ。
というへこんだところで、山です。
「州見台公園(くにみだいこうえん)」のこんもりした山に作品があるよ。
はい。
( ´ - ` ) どこ。
頂上に着いてしまった。
「ありがとう」 はい。
ええ?
ええ???
( ´ q`) 打開策が見えないまま山を下りてきたが、何かが白線で描かれた痕跡は見えた。なに? 電車ごっこの線路? 巨大ミミズ?
これが服部正志「ありがとうの州見山―にあはひなかまは―のきょじん」であった。
「であった」じゃねえよ。
これどうすんの。ミミズの謎が残ってしまった。
が、作品プレートを見ると、小学校でのワークショップの様子が紹介されている。体育館で「ありがとうのきょじん」を、指の一本一本までロープで描いた後、この州見山で改めて巨人を描いたのだという。
つまりワークショップ実施日が「木津川アート」開始日と日が離れていたため、白線で描いた巨人がすっかり消えてしまったと。なっとくしました。白線やからね。風が吹いたら消えます。
それで帰路にバスで州見山を通りがかったら、
( ´ ¬`) めっちゃ描いてた。
巨人再生。おめでとうございました。
これでもまだ巨人かどうかわかりませんが、いや、これは巨人です(断言
はい( ´ k` )
◆木津、過去の姿
この「州見台公園」で、私達は過去の姿を知ってしまった。
プレートを発見した。そこには「ハーモニーシティ木津はこんなまちです」と、4つのコンセプトとともに、開発前と開発後の衛星写真が掲載されていた。
平成元年(1989年)~平成20年(2008年)、20年間に及ぶ学研都市の変化が、今ここに明らかに!
これが平成20年/2008年の街の様子。現在のメカメカしたフラットな姿と言えよう。
ではその20年前・・・
( ´ ¬`) や っ ぱ 山
め っ ち ゃ 切っ と る や ん
け !!!
なげきとかなしみの咆哮が響き渡ったのであった。
わたしは地球と一体化し、人類を○ぼすことにした・・・。
⑧旧ボタン工場 ~ ⑪十輪寺
主催者も参加者のこうした心理を知り抜いているのか、これまでと打って変わって古いローカルな場所を歩くことになる。ローカル成分を欲する体になってしまっていたのを見越したような展開である。わあい。
レポは別途上げているよ。これは濃厚で楽しかったですよ。廃工場、廃屋とアート。
その周囲もよかった。ローカル汁が吸えるのだ。
だが次のスポット、「ガーデンモール木津川」、カインズあたりへ向かう道で虚無が復活した。ぬう・・・ 空が・・・ 広いんや・・・。
平らな土地に並び立つ住宅を見ながら歩き続けているうちに、持ち家、そして持ち家信仰を煽るこの国の仕組みに、深いにくしみがわくようになり、「インベスターZ」などに傾倒しそうになります。お、おちつけ・・・人の心を戻すんだ。
そして終盤の作品⑫・⑬は、コストコ、ガーデンモール木津川の敷地にアプローチして越えていく必要がありますが、モールがやたらデカく、規格外にデカい。駐車場に列をなして入ろうとしている車たちをやり過ごしていくだけでも大変です。
作品ナンバリングでいうと、次に紹介すべきは「⑫上人ヶ平遺跡公園」ですが、これ一番遠くにあります。どう考えても回り方としては「⑪十輪寺」の次に「⑬ガーデンモール木津川」を通り抜けての「⑫上人ヶ平遺跡公園」、そしてその近くのバス停「州見台八丁目北」からバスに乗ってJR木津駅に帰る、というのが最も効率的で正しい。
⑬ガーデンモール木津川1F/◆池口友理
まあまあでかいモールです。この中のどこかに作品がある。頑張って探しましょう。
コメントに困るモンスターゆるキャラがあらわれた。
かえんむかでの変種とかいうレベルではなく、宇宙人みたいな角と体色だし、腹部が虹色ゲージだし、ピースサインだし、口なのか口髭なのかわかんねえし、目が全く笑ってない。こええよ。
こええよ。(※誉め言葉の変種です)
1F中央「セントラルコート」に池口友理「スーパーの絵と自動販売機の絵」があります。
タイトルの率直さと、得体の知れない商品のコラージュ?的な絵?が特徴的です。消費社会だ。いや温もりがある。このガタつきが温もり。親しみを込めて商品群を描いている。
なぜガタついているかというと、「最初に描いた絵をカッターで切り刻み、その破片を1枚1枚、別々に切り刻んだ板に描き写しています」「その描き写した絵の板の破片を最後に接着剤で貼り合わせています」と、解体と再構成をかなり大胆に行っている。
切り刻んだパーツをわざわざパーツへ模写しているところに独自性がある。全体から切り離した「部分」を再度寄せ集めても、元の「全体」には完全には戻らない、情報は欠落する。が、その欠落とズレを鑑賞する側は記憶で埋め合わせようとする。誤字脱字のある文章でも全体のニュアンスから意味を解するように、いやもっと私的なノスタルジーを交えて、鑑賞者はこの慣れ親しんだ消費財、広告、スーパー的風景に眼差しを投げ返す。
小さい絵はスーパーの棚の商品陳列を描いたものだ。非常に慣れ親しんだ光景であり、親の顔よりよく見た光景である。これこそが日本の生活であると思う。
「ガーデンモール木津川」内には大きなスーパー「フレンドマート」が入っている。スーパーの中でスーパ-の内部を描いた絵(の模写)を提示している、入れ子構造の鏡のようになっている。消費社会と一体化した私達を表す作品、こういう取り組みは面白い。都市部を舞台にイベントをやるなら、ぜひ色んな表現ジャンルを色んな場所にぶつけてみてほしい。
3連休をショッピングモールで過ごす家族連れの行列。生活の核であり、娯楽であり、家庭の柱でもある。郊外は老朽化し高齢化しているというが、一方でまた新たな郊外が活性化し新たな世代が育まれる。宅地とは何なのだ。広く平らな空の下で私は呆然とする。家庭を持て。はい。
⑫上人ヶ平遺跡公園/◆奥中章人
広い車道を渡って、「日本果汁」という美味そうな名前のジュース工場だかジュースの物流センターだかを見やりながら、「上人ヶ平遺跡公園」に来る。平らな公園が広がっているが、その中央には虹色に輝く巨大な風船が寝転がり、そして風に吹かれて揺れている。
「木津川アート」をはじめ、屋外のアートイベントでは毎度お馴染み、奥中章人作品である。「INTER-WORLD / Solar Current」という。
でかい。
風船として浮いている印象が強いが、地に腹が付いていてふわふわと風に転がっている。空と地面の間にある物質/存在だ。これをデジタル世界と物理世界の中間帯に位置する胞子として、学研都市の至る所で同時展開させ、フラットで無機質な開発地に繁殖させてやりたいと思う。そして無数の内宇宙がゲリラ的に膨らんで、その中で子供らは戯れながら、学校教育と都市政策の埒外に接続して異次元の夢を見る・・・(※筆者は中平卓馬や若松孝二あたりに微妙に傾倒しているかもしれないという説があります。風景論以後のその後をしよう)
そして、地面に敷かれた平らなマットは水入りで、ウォーターベッド的な快適さがあるようで、子供らも大人もそこから動かない。樹液に群がる昆虫たちのように喜んで動かない。平和なユートピアが実現していた。
「空気と水と太陽のやわらかい彫刻」というのは比喩ではなく本当にそういう作品だが、実体としてはもっと人間の身体に寄り添っていて、彫刻と違って空と地上と身体とをダイレクトに物理的に接続するゾーンとなっている。
更に実体をいうと、このウォーターマットは、人間をだめにする。
決定的に、だめにする。
この写真は同行者(写真家みっこはん)であるが、このやたら低い画角は言うまでもなく、ウォーターマットから起き上がれなくなり、消えてゆく意識の最後の欠片で切ったシャッターである。マットの感触を試すために身体を横たえた直後、二足歩行とか腰椎とかが馬鹿馬鹿しくなり、終わった。
天与の馬力とテンションを誇る男子児童が嗜虐に目覚め、「ユラセユラセェー!!!」と叫びながらわざと私達の周りを飛び跳ねてめっちゃ揺らすのだが、その狂暴な振動すら安楽に変換されたのだ。恐るべし、水。
だめになった人間にできることは、ない。
ただ横になり五感が混ざるだけである。終わった。さよなら。
風船体が風に揺られてこちらへ覆いかぶさってくる。「いんせきだーーーっっ」「せかいのおわりだああーーーっっ」男児らはハリウッド映画に投げ込まれたような心境で興奮しまくっている。これが世界の破滅の到来に見えるのか。羨ましい。アートだのイベントだのといった枠には生きていないのだな。その感覚、ゆめ忘れるな・・・ いつかきっとやくにたつ・・・ ぐう( ´ - ` )
中に観客が入るイベントも考えてるとのこと。
あかん寝てまう。意識が・・・ いや帰りはバスに乗らんとむりやねん。二人とも学研都市に人間力を吸われてしまって、駅まで歩く気力がない。無料バスを待たず、通常のコミュニティバスに乗って帰りました。ふう。
( ╹◡╹) たのCかった。