nekoSLASH

ねこが超です。主に関西の写真・アート展示のレポート・私見を綴ります。

【写真】木津川アート2018(「クニを見る、恭仁から見る」成田直子)

【写真】木津川アート2018(「クニを見る、恭仁から見る」成田直子) 

成田氏の展示は屋外で風に吹かれて揺れている。眼のクローズアップ写真だ。空き地で眼が泳いでいる。生きているような生々しさがある。

この巨大な眼が語るのは、黒目に反射した風景についてである。作品のサイズはかなり大きく、黒目が顔ぐらいあり、その反射景は周囲の景観と呼応してゆく。それは今ここに見渡せる空間だけでなく、時間の広がりとも繋がりを持つ。

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【映画】「ゆけゆけ二度目の処女」監督:若松孝二 @第七藝術劇場

 【映画】「ゆけゆけ二度目の処女」監督:若松孝二 @第七藝術劇場

 相変わらず、何が処女なのかはよく分からないのであった。だってこれは「詩」だから!

若松孝二監督作品を積極的に摂取する必要がある。

 

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【レクチャー】都市計画の思想と場所/中島直人 先生(ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭)

 【レクチャー】都市計画の思想と場所/中島直人 先生(ラボカフェスペシャル featuring 鉄道芸術祭)

H30.11/13(火)都市論のイベント。都市計画の今ということで、都市計画家が策定したプランを上から下へ下ろす時代ではないことを改めて認識する。

演者は東大・都市デザイン研究室の助教を務めておられる中島直人 先生。

本講義のタイトル『都市計画の思想と場所』は、中島先生の著書タイトルに由来する。書籍が都市計画の歴史をまとめたものであるのに対して、本レクはそのイントロ及び中島先生の直近の取組事例を紹介。 

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【映画】「処女ゲバゲバ」監督:若松孝二 @第七藝術劇場

【映画】「処女ゲバゲバ」監督:若松孝二 @第七藝術劇場

 「三丁目の交番、あれも爆破します」(『止められるか、俺たちを』ラスト)で若松孝二ファンになりました。痺れます。20年前に出会っておきたかった。そんなわけで1969年の初期作品『処女ゲバゲバ』。これが怪作というか問題作であった。

ゲバはゲバルト(ドイツ語で「暴力」)のゲバ。ヤクザの親分の女・花子と、駆け落ちしようとした下っ端の男・星という名のチンピラが、同じく下っ端のヤクザ者と娼婦らに荒野に捨てられ、死を宣告されるところから始まる。

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【映画】ヴィジュアルフォークロア(映像×民俗)「見世物小屋」「カベールの馬」「女が男を守る島」@第七藝術劇場

【映画】ヴィジュアルフォークロア(映像×民俗)「見世物小屋」「カベールの馬」「女が男を守る島」@第七藝術劇場

十三の第七藝術劇場(通称ナナゲイ)では、この11月から来年1月にかけて「ヴィジュアルフォークロア」という、民俗学的に価値の高い映像作品の上映を特集している。第1講となる11/10~16は、「失われゆく者たち」、今となっては消滅してしまった文化の映像記録3作を上映している。 

( ´ - ` ) 3作続けて鑑賞しました。よかった。

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【映画】世界で一番ゴッホを描いた男 @シネ・リーブル梅田

【映画】世界で一番ゴッホを描いた男 @シネ・リーブル梅田 

 

大量のゴッホを描きまくる中国の工房のドキュメンタリー映画。2重、3重に衝撃の映像であった。美術や絵画に興味のある人は、現代の絵画(関連)ビジネスの一端と、その渦中に生きる人々の想いが見られるので、必見です。

 

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【写真展】タシロユウキ個展『hyperlife』@ギャラリー白

【写真展】タシロユウキ個展『hyperlife』@ギャラリー白

 会期:H30.10/22(月)~10/27(土)

大阪・梅田の都市空間、自宅、寝室、職場など生活全般において目にする「パーツ」、都市のディテールを元にして擬人化を推し進め、独自の生態系を見出す写真作品である。

 

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【写真展】林優子 個展@ギャラリー白 (ハク) kuro

【写真展】林優子 個展@ギャラリー白 (ハク) kuro

【会期】2018.10/15~10/27
f:id:MAREOSIEV:20181024163434j:image

私の個展と同じギャラリー(階が違う)にて、ちょうど同時期に開催されている写真展である。しかし同じ写真表現でもその主眼は大きく違う。私の作品が、写真という眼差しの技法において「視点」に特化したものであるのに対し、林氏は「網膜」、すなわち光が眼の中の受容機構に届いて、ものが「映ること」と、それが引き起こす感情や記憶について語っている。

 

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【ART】中ハシ克シゲ「触りがいのある犬」@兵庫県立美術館・県美プレミアム「美術の中のかたち―手で見る造形」

【ART】中ハシ克シゲ「触りがいのある犬」@兵庫県立美術館・県美プレミアム「美術の中のかたち―手で見る造形」

犬に触れてきました。

見た目には、「不完全な」犬(の作品)です。しかしこれが最適解です。
その理由は?

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【写真表現大学】H30.10/7(日)ゼミ(個展の詰め、デジタルサウンドへの展開とか)

【写真表現大学】H30.10/7(日)ゼミ(個展の詰め、デジタルサウンドへの展開とか)

個展が近づいてきました。この日はゼミです。

これは展示計画の一部です。設営の直前まで来ると、あとはもう作業をどれだけこなせるかになります。タスク管理が重要になり、可処分時間とやりたいことを天秤にかけて、自己対応できないものは諦めるか、お金を払って購入・外注で捌きます。

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【写真展】寺門豪『PARADISE』@大阪ニコンサロン(H30.9/27~10/10)

【写真展】寺門豪『PARADISE』@大阪ニコンサロン(H30.9/27~10/10) 

 

無人の風景を近年の首都圏から抽出し、「人間が消えた世界」を語る作品。あえて各作品は二枚組にされており、その合間にある距離やズレを受け手が埋めてつつ見ていくこととなる。無人とは何か?というと、その風景に人の影、痕跡を確認する作業に他ならないことに気付かされる。 

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【写真 -トークショー】H30.9/24(月)竹内万里子×古賀絵里子「写真の生 ー見ることの先にー」(『沈黙とイメージ―写真をめぐるエッセイ』刊行記念)@京都岡崎 蔦屋書店

【写真 -トークショー】H30.9/24(月)竹内万里子×古賀絵里子「写真の生 ー見ることの先にー」(『沈黙とイメージ―写真をめぐるエッセイ』刊行記念)@京都岡崎 蔦屋書店

写真評論家・竹内万里子氏の初となる単書『沈黙とイメージ』刊行記念イベントとして、竹内氏と写真家・古賀絵里子氏、そして赤々舎の姫野代表の3者によるトークショーが開催された。

 

写真を研究・批評する側にいる人物が、何を想いながら、写真に対し、作家に対し、言葉を探し出して、綴っているのか、その実のところを聴くことができた。

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