写遊百珍

大阪国際メディア図書館「写真表現大学」研究ゼミ生&TA。各種講座のレポや、関西・東京の写真展、アート展示を特集。

【写真展】日本写真映像専門学校 卒業制作選抜展 @富士フィルムフォトサロン大阪

【写真展】日本写真映像専門学校 卒業制作選抜展 @富士フィルムフォトサロン大阪 

 

どの写真も、被写体に対する思いやり、優しさの距離感を感じた。さきに見た大阪芸大ビジュアルアーツともまた全く異なる写真観です。校風の違いなのでしょうか。 

 

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  • 【会場】 大阪・本町_富士フイルムフォトサロン 大阪 スペース1・スペース2・ホワイエ
  • 【会期】 2019年2月8日(金)~2019年2月14日(木)
  • 【時間】 10:00~19:00(最終日は14:00まで/入館は終了10分前)

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その場で浮かんだキーワードのメモを見返してみる。

・優しい

・まごころ

・思いやり

 

 

( ´ - ` ) 料理漫画のネームみたいになってしまった。 

 

 確かに料理漫画の勝負では、客への配慮やまごころをより尽くした方が勝つというのがセオリーになっている。プロカメラマン、特に生身の人間を撮るお仕事では不可欠の要素となる。こちら写専(略称)の展示は、その指導に力を入れているように感じた。眼差し、フレーミングが優しいのです。

 

プロい。

プロカメラマンとしての技術を磨いている方々が多いと思われます。残念ながら私は技術のことは分からない(遠い目)上に、人の顔とか情が苦手(白目)なので、ちょっと置いておきます。

 

 

そんな中でも、何か気になる作風、世界観の方々をピックアップしてメモます。(掲載等については承諾得済)

 

■《Replaceble/Unreplaceable》小原京華

数多くある「関係」の中でも、「家族」との関係は自分にとって特別であるという思いから、自身の像と家族の像を重ね合わせているらしい。

遺伝形質などの物理面では最も近い(代替可能性が高い)「家族」が、自分にとっては最も特別な(代替不可能な)関係であることを表わしていて、面白い。

 

 ■《ひとんち》黒坂ひな

人の家の中。

よそのお宅の中を見る欲望は、皆持っているのでは。私は幼少期すごかった。勝手にタンスとか開けて後でアホほど怒られた。 わけのわからん調度品、土産物、人形とか、どんな本持っているかとか見ますよね。

展示は、ブロックごとに額装を変えたりしていて工夫されている。

 
■《あーすろっくおん》中林侑紀

プリクラの補正機能が、極めて不自然な美白、デカ眼などの現象を引き起こすこと、その割に皆の自己愛、自己表現として親しまれていることを、逆手に取った作品。

もう既に、宇宙人によって地球は侵略されていて、「そのうち公式発表されるのでは」とし、その解禁日に向けて、若者に宇宙人のフォルムを慣らさせておくために、宇宙人がプリクラを駆使して暗躍しているという説である。

 

実際あながち冗談でもない。「プリクラを重ね撮りしたら人間じゃなくなった」 旨の検証動画などを見ると、納得させられる。うむ。宇宙人です。

一般民間人の「美」の基準、ひいてはどこが私の「私」として納得できるポイントかは、化け物とスレスレなのかもしれない。

これは、徹底して突き詰めていけば、読み手がいくらでも深堀りして語れるテーマだと思う。《レベルE》(冨樫義弘)もあるし。物語調にしなくともプリクラ過剰盛を10回、100回と繰り返すだけでも作品になると思う。

 

 ■《もう無理、限界》寺本拓央

日常光景の加算名詞を、通常必要な数の少し先まで「盛る」もの。「やってみた」系の映像ということで、お隣のプリクラ宇宙人作品《あーすろっくおん》と根底で共通している。シュールな笑い系。

あんまり限界でもない点をどう解釈しようかなあと迷った。

もっとびちゃびちゃに、バチャーッと溢れさせた方が良い、といった意見はあったはずだ。それをあえて、溢れさせない、保っている。この「何とかなりそうな」ところを「限界」として表現させたことに、作者の意図や、置かれている状況があるとしたら、一見シュールなこれらの作品は、抱えている意味が変わってくる。

そこをシャープに突き詰めたら、現代、社会への異議申し立てなどへも繋がると思う。 

 

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ありがとうございました。

 

作家系の作品については、皆さん真面目。コンセプト、取組は面白かったが、総じて相手への思いやり、配慮の方が写っていたのが印象的だった。つまり作者のコンセプトと、それに基づくモチーフが霞んで見えにくかった。

どこかである種の冷酷さか、度を超えた親密さがないと、写真には世界が写ってこないのかも知れない。人の部屋であれ、都市であれ、人体であれ。もちろんMetoo案件は絶対だめですけども。

 

写真行為を巡る根深い問い、なんでアジェはいまだに凄いのかという問いにぐるぐるするのであった。うへえ。

 

( ´ - ` ) fin.