( ´ - ` )ノ 岡山に来る用事なんてなかなかないもんですが、岡山芸術交流となれば、来ます、来ます。これ楽しみにしてました。
岡山の市街地を舞台とする芸術祭です。今年はピエール・ユイグがディレクターを務めています。
【会期】2019.9/27(金)~11/24(日)
- 市街地散策
- ◆【A&C 2】ダン・グラハム『木製格子が交差するハーフミラー』
- ◆【A&C 6】リアム・ギリック「多面体的開発」
- ◆【A&A 3】A&A TUBE
- 【D】岡山市立オリエント美術館
- 【C】岡山県天神山文化プラザ
- ◆ミカ・タジマ『ニュー・ヒューマンズ』
- ◆シーン・ラスペット、郑胜平『越香 ⓒ(2-ベンジル-1、3-ジオキサン-5-オン)』
- ◆エティエンヌ・シャンボー『熱』
- ◆エティエンヌ・シャンボー『ソルト・スペース』
- 【B】旧福岡醤油建物
- ◆フェルナンド・オルテガ『無題』
- ◆シーン・ラスペット、郑胜平『越香 ⓒ(2-ベンジル-1、3-ジオキサン-5-オン)』
- ◆エヴァ・ロエスト『自動制御下』
- 【H2】石山公園
- ◆メリッサ・ダビン&アーロン・ダヴィッドソン『遅延線』
2016年に初回の開催。当時はリアム・ギリックが総ディレクターを務めました。当時はアイコンがデジタルチックな目のマークに「開発 Developmen」と書かれていたので「岡山でSEやプログラマの国際的な学会でもやってるのかなあ…」と思っていたりしました。とてもいい思い出です。
岡山芸術交流の最大の特徴は、市街地に密集しており、1日で全部回れることです。前回はギリッギリで回れました。今回は、半日で回れました。会場数は前回と同じぐらいですが、展示数がスリムになり、ボリュームとしては前回の半分ぐらいです。15時にはやることなくなって解散しました。まじかよ。
今年のタイトルロゴは「OK」。このロゴが、後に撮影禁止作品や立入禁止の扉などにも普通に出てくるので、いいのかあかんのかよく分からなくて論理困惑しました。楽しかったのいいです。
今回の同行者は(も)、前回に引き続いて、珍スポット・廃墟・螺旋階段等でおなじみの小唄氏です。よろしくお願いします。(※東京在住のため、夜行バスで7時過ぎ岡山着)
①ではDとかCとかBを回りました。以下、場所No.は地図に基づきます。
市街地散策
展示会場は9時から開場です。7時半などに落ちあうと、少し茶を飲んだらもうやることがなくなりました。とりあえず会場のある真東に移動します。1㎞ほどまっすぐ歩いて、城下地下広場、オリエント美術館のあたりが会場エリアです。チン電もいいけど歩きました。
JR駅前で、道路一本渡ったら即・レトロな商店街が出てくるのが素晴らしいです。空中に尻が浮かんでいますが、桃と見るか尻と見るかは個人の問題でしょう。商店街の中は新陳代謝されていてレトロでもなく、ほぼさくさく通過してしまいました。
商店街で唯一と言ってもいい異彩がこれ。合気道の達人看板。これは前回も見かけて記憶に焼き付いています。針を投げてるのか強烈な催眠術をかけてるのか・・・。
川(西川?)のあたりに出ました。少々古い物件と住宅が交雑している。このあたり、県内最大の中心街のど真ん中のはずだが、普通に住宅街。このモンスターみたいな魚オブジェはなんだ。
商店街アーケード内より住宅街に出たほうがレトロ感が増したぞ。DAM。20年若返った!
チン電が現役の街です。なぜか人が全然いない。
まだ会場が開くまで30分ぐらいあるので、とにかく歩いて一番遠そうな会場の近くまで寄せておきます。
おっ作品の印がある。
◆【A&C 2】ダン・グラハム『木製格子が交差するハーフミラー』
( ´ - ` ) せやな。
木製格子とカーブを描いたガラス ですね。 せやな。
ホワイトキューブでこれ置いてたらシュールだったと思うけど、拝殿と併せて見ると実に溶け込んで見えますな。
回り込んでみた。確かに自分自身が映るので、格子を覗くと自分を覗くことにもなる。工夫すると反射で面白い写真が撮れそう。
鑑賞が1分以内で終わりますが、同行者との会話力が問われる作品とも呼べるでしょう。こういうのに中・高生時代から鍛えられてデートしておけばウィットに富んだ人生が・・・ どうかな。
川でも眺めよう。すぐ右隣りは岡山城です。
ああいい街並みだ。岡山市街地って古い街だったんですね。
※時間調整でうろついています
◆【A&C 6】リアム・ギリック「多面体的開発」
このシンボルタワーみたいなのは前回に登場した作品。たぶん2年間このまま立っていたのでは・・・。意味は全くわからないが、ランドマークになってていいなあと思う。
◆【A&A 3】A&A TUBE
これも前回作品。ばかみたいにでかくて、人が中に入って歩いたり雨をしのげます。2年間、岡山の地で熟成されていたのでしょう。「A&A」とはプロジェクトのグループ名で、フィリップ・パレーノ×青木淳建築計画事務所、リクリット・ティラヴァーニャ×アトリエ・ワン、リアム・ギリック×マウントフジアーキテクツスタジオ、という面々。かなり凝った宿泊施設を立ち上げています。
<★link> A&A 宿泊
前を通りがかりましたが、民家の群れの中にありました。わざわざ岡山市街地で1泊する理由をアートや建築に見出すのはひとつ新しい視点ですね。ほかにやることないしな。
元は漆黒でしたが、風雨で錆が生じていますね。この2年でこれか・・・。10年後20年後にはずたぼろになってるんやないか。未来の土管みたいな感じなのでじなので子供は喜びそう。
( ´ - ` ) いつまでもつかな・・・。
【D】岡山市立オリエント美術館
館内撮影禁止のためメモのみ。
◆ポール・チャン『トリオソフィア』
黒い人型のビニール袋みたいなのが、手を繋ぎ合って、中からエアーが送り込まれてぐにゃぐにゃ動いている。3すくみの状態で、手を取り合って仲良く・・・というより、誰かが立ち上がっているためには誰かが引きずり込まないといけない。微妙な関係が面白く、ずっと見ていられた。
ほか2つあったが、おかしい、たぶん他の展示品に紛れてて見落としました。(名の通り古代のオリエント文明の発掘品が色々と常設展で)
ライアン・ガンダー『摂氏マイナス261度 あらゆる種類の零下』は、なんか真っ黒の風船が浮かんでました。かわいいですね。
【C】岡山県天神山文化プラザ
町の文化系イベントを色々と担っている施設。絵に描いたような昭和の行政の建物ですね。昭和やあ。これは昭和ですわああ。いいなああ。1962年生まれですって。いいなあああ。この日もなんやかんやとイベントやってました。
巨大なナマズの頭みたいなのがいました。これは岡山芸術交流とは別枠で、岡部玄さんの作品「天神鯰」です。せやなあ。
館内がめっちゃ広い。さすが地方の昭和の役所系。いかついなああ。これ普段使いきれてるんだろうか。
◆ミカ・タジマ『フォース・タッチ(からだ)』
白い壁面に点々としているものが作品です。空間が広いなあああ。この、人がしゃがんでいるところの四角い水たまりみたいなものも、作品です。総じて、大きな人体みたいになっている。
点々は人体のツボになっていることが判明。そして一つ一つの金色の穴からは空気が噴出されていて、やはり空間全体、内外も含めて、大きな体になっていることがわかる。フロア一面に低く、くぐもった音が響いていて、まさに呼吸だ。
◆ミカ・タジマ『ニュー・ヒューマンズ』
黒い細胞のようなものが連続している。これがめっちゃぬるぬる動きます。ぬるぬる。音もなくぬるぬる。生まれては消え、生まれては消え、こっちへ向かって生成してはまた向こうへと、ぬるぬる。人工生命の発現ということだろうか。
動くんですよ。ぬるぬる細胞。ブウーーと鳴ってるのがさきほどのツボ作品の呼吸音です。なんか生命プログラムの原型を見た思いがする。EVAの敵に出てきそうですね。観客はこの作品の生成プログラムに介入できませんが、何らかの方法で学習内容に変更が入ったら面白いなあ。
次のフロアに向けて廊下を歩きます。
◆シーン・ラスペット、郑胜平『越香 ⓒ(2-ベンジル-1、3-ジオキサン-5-オン)』
各会場で度々登場するのがこの『越香』(Hyperflor)、姿も形もない香りが作品です。科学的に開発された新しい香りで、産業として商品化も目指し、それでⓒマークがついています。この会場ではちょっと香りが弱かった。
1Fに降りましてきました。
暗い空間に床と柱だけがある。そして床は白いものが積もっている。
◆エティエンヌ・シャンボー『熱』
会場の柱は熱を帯びています。かなり、まあまあ、けっこう熱い。ほぼ40℃あります。これは特定の人体の熱を生成・測定したもので、実際の病気の発熱パターンからモデル化したものだとか。病気の人間と同じ熱を出した建物、それはもう建物というより亜人間なのではないか・・・ そんな思いを深めてゆくのでした。
◆エティエンヌ・シャンボー『ソルト・スペース』
そして床は白い粉が散りばめられています。塩?砂?
解説は「死んだ動物の解剖学的構造を粉砕した骨粉」という分かったような分からない日本語をしてますが、つまり骨粉をめっちゃ撒いてるということです。
発熱しながら生きている柱と、動物的な死を湛えた黒い床。その上の階では、人体のツボを有し、気の巡りを活発にしている。古風な昭和の行政の近代建築の内側で、とんでもない未来の亜人間の人体を体験してしまった。これは凄い空間だった。
さて
醤油のあるところまで行きます。
この左手の黒い建物がしょうゆ。
【B】旧福岡醤油建物
しょうゆ屋敷。かつて母屋は醤油製造や市民銀行の窓口として活躍した・・・しょうゆ長者ですなあ。
◆フェルナンド・オルテガ『無題』
よくある虫を殺すタイプの照明。電撃殺虫器というらしいが、これに虫がかかると停電を起こす仕組み。リアルな生物の生死と装置・会場の疑似的な生死が連動している。やはり今回の展示のテーマは、疑似的、拡張された生命ということか。
◆シーン・ラスペット、郑胜平『越香 ⓒ(2-ベンジル-1、3-ジオキサン-5-オン)』
ここでも例の香りが登場。人が通るとシュッ。何か「ん??」と気になる。なんか甘くはなく引き締まる感じの。
◆エヴァ・ロエスト『自動制御下』
VR内の作品。よって会場では写真のように、無の空間の中で鑑賞者が静かに座っているだけになる。が、体験している映像は飛行機の内部。乗客丸ごとスキャンして生成された、医療用3D画像のような生々しくも科学的な立体映像の中、視座は後部座席から少しずつ前方へ向けて動いてゆく。乗客一人一人の風貌も普通ではなく、粒子の高速衝突でずたずたに撃ち抜かれたようになっている。自分が一体どこに迷い込んだのかが分からなくなる作品だった。
じゃあ岡山城の周りをうろつく感じで移動します。公園いくよ。
【H2】石山公園
なんかあるよね。喫煙スペースなはずがない。
◆メリッサ・ダビン&アーロン・ダヴィッドソン『遅延線』
( ´ - ` ) うむ。いやな予感しかしない。
作品解説をご覧ください。
旭川沿いに設置されたこの作品は、川の伏流水から汲み上げた水で機械から出る熱を取り除き、人工生命体に与える。ガラスでできたオブジェのネットワークは、岡山市の水源により動きだす。ガラスは、凝縮、蒸留、変態といった要素だけでなく遅延線の考え方にも紐づけられており、時限を持つ生物として機能する。
このガラス細工の生物は計算装置に接続されている。地下の川床のシミュレーションは、コンピュータの温度だけでなく、マンタの動きにも影響される。コンピュータはその動きの副産物として熱を発生させ、このシステムを流れる水によって冷却される。熱を帯びた水は羊膜の世界に飼われる人工マンタのための環境となり、生物と機械、マイクロチップと胎児を結びつける。
( ´ - ` ) 宇宙語か
これが噂のマンタですね。ひくひくしています。
人工心臓らしきものがあります。この巨大なケース全体が、生命の循環システムであるとともに、一つの生命体のようでもある。
動いてる様子見たいですか?
岡山芸術交流2019_メリッサ・ダビン&アーロン・ダヴィッドソン『遅延線』
( ´ - ` ) ドクンドクン
2019年の岡山は人工知能と人工生命が巣食っているということでよろしおすな。未来どすなあ。まだ長いのでいったんここで。次は【A】の「旧内山下小学校」へ。