【ART-写真展】「Water Mirror」鈴木理策 @CASE TOKYO
みんな大好き鈴木理策の展示が渋谷「CASE TOKYO」であったので寄ってきた。森の中でたたずむ水面を撮った作品群です。
目を離すと渋谷がすぐ変貌します。
なにこれ。
GPSの精度がさいあくで、迷子になりました。わあい。渋谷の駅周辺が再開発で変形しすぎていて何がなんだかよくわかりません。日本はまだ元気でカオスなのかもしれない、という最後の希望を持つことができる場所でもあります。わあい。
どんどんツヤツヤになる都市。一方で既存のインフラは着実に老朽化、高齢化を重ね、いつの時点かで人の手も金も回らなくなってメンテナンスを放り出す時代が来るのではないか、とか思ったり、思わなかったり、思ったり。GPSが仕事をしないので迷子です。
そんなビルの一角、地下にギャラリーはある。
写真集通販でおなじみの「shashasha」さんとお隣だった。ああこんなところにあったんですか。
ギャラリー内は撮影OK。写真集の販売とともに作品の展示があった。写真集制作に当たって、オリジナルプリントから印刷、作家のチェック・指示に基づいてどのように完成形へと向かっていったか、その経過の一端を見ることができる。
H29.12月に入江泰吉記念 奈良市写真美術館で開かれていた「IN PRINT, OUT OF PRINT 表現としての写真集」展のうち、鈴木理策の分だけが切り出されたものと思っていただければOKです。
面白いのがやはり作家指示による印刷すりなおし。
指示。
指示後反映。
カメラの露出の具合もあるんで厳密な差はあれですが、「シアンをプラスに」「イエローをマイナスに」「濃度を上げて」といった指示が主です。納得の仕上がりです。手元でデータをいじるなら自分でフォトショのスライダーを上下するところ、紙への印刷なので、指示出しです。
会期が2/24(土)までだったので、見れなかった方は写真集でお楽しみください。
写真集の中の水面と森の光景はかなり色が深く、宝石を溶かしたようなとろみと重厚さのある「緑」がとても魅力的です。その魅力ある世界を実現させているのが、作家の強いイメージと、それを物理的に調整して出力せしめる印刷屋、それら全体の動きをコーディネイトする編集者らとの、共同作業です。
写真は撮ってるときが一番楽しく快感であると思っていましたが、ここまでの工程にがっつり関わったならば、また「写真」の見え方が変わるのかもしれませんね。
写真集は、水面に移りこんだ森の中をさまよいます。濃く、鈍く光をたたえた森の緑の中を潜り、波紋、ゆがみの中へと吸い込まれます。ゆがみと光が静まっていくと、蓮が静かに広がる世界にたどりつきます。蓮が涅槃をイメージさせ、穏やかな空と重なり合い、意識が空へと持ち去られます。たぶんこの時点で一度死んで、その後は、森の中に浮かび上がる黒々とした樹木のかたち、モノー生命の原型に意識が憑依し、自身が森の一部へと回帰します。
そんな感じがしました。 (※体験には個人差があります)
目に毒なものも並べられている。うわあ。
いいなあ ほしい。ください。
うそです。
目に毒でした。
(・_・)
いいビルだった。
小さなフロアだったがお客さんが途切れなかった。鈴木理策は人気があるなあ。
完