写遊百珍

大阪国際メディア図書館「写真表現大学」研究ゼミ生&TA。各種講座のレポや、関西・東京の写真展、アート展示を特集。

【写真表現大学】H30.7/1(日)授業「作品制作」 ~「撮影計画書」をつくろう ~

【写真表現大学】H30.7/1(日)授業「作品制作」 ~「撮影計画書」をつくろう ~

 

授業です。

今年度はじめてTAっぽいことをします。皆さん設定を忘れていたと思いますが筆者は「写真表現大学」のTeaching Assistant だったのです。ジャーン。威厳も何もありませんが。

本日はこれ。

ジャーン。

いわゆる「撮影計画書」です。

中をめくると「テーマ(主題)」や「コンセプト(内容)」などの項目があり、明らかに言葉仕事です。ことば。わあい。みんな大好き、言葉。

 

「写真だから直感と感性で勝負してやろう」と意気込んでいた生徒さんたちの悲鳴や怒号が聴こえてきそうな展開です。いいですね。 

 

現代は不幸な時代です。

写真をやるにはテーマ性が不可欠なのと、作品のコンセプトや制作意図を言葉で説明できないと、詰みます。どのトークイベントに行っても、どの展示会場に行っても、それが写真集であっても、よい作品には、よいテキストやトークが伴っており、仮に作家自信が語らなかったとしても、代わりに誰か論理的に展開できる人のテキストがどーんと掲げられているのが常です。

 

中には擬態しているだけで、本音では「社会性やテーマ性など糞くらえだ」というアナーキーな方も、一定数おられるとは思いますが、その場合でも「社会性や写真史やテーマ性などクソだ」という抗弁自体が「テーマ」になります。つまり力のある表現にはテーマ性があるということになります。卵と鶏の理屈です。

そこで凡庸な我々はセオリーに則り、まずは型を覚えるところからやっていきましょう。「テーマ」という鶏を先に調達し、個々の作品となる卵を産ませる作戦です。産ませた卵をどう料理するかは編集のフェーズです。

がんばりましょう。

3月の展示に間に合わせるのがミッションです。

 

逆算すると1月には種々の発注(額やプリントの注文)に着手するので、秋には作品候補が手元に集まっている状態です。すると、この夏の時点で、暫定でもいいからテーマを決めて、撮り始めていないといけません。軌道修正や踏み込み・深化をする暇がなくなります。 

そのへんの物理的・時間的限界を踏まえて、「たとえばアマゾンの源流に取材に行くとかいう企画はNGです」「3月のグループ展を目標にしてください」といった注意があります。

「かといって、NG出たからといってアイデアは捨てないでくださいよ」「自分の中にしまっておいてください」

これは重要です。今手元でうじゃうじゃ書いたメモが、後で役立つ時がきます。なぜなら全て繋がっているからです。そのことはまたいつか触れたいと思います。

 

夜間クラスで先行して進んでいる生徒さん方から、現在までで決まっているテーマの発表がありました。以下は、そのプレゼンの言葉と、講師の補足説明とを合わせてまとめたものです。

(※掲載したテーマタイトルは暫定のものです)

 

夜間コースの汤(トウ)さんです。

タイトル『ネームカードにかける留学生の夢』

中国出身で留学生の彼は、同じ留学生たちがバイトで胸にかける「ネームカード」に着目しました。仕送りだけでは暮らしていけないため、彼らは皆、バイトをしています。各人が母国から抱いてきた期待や将来の夢が、そのネームプレートに掛かっているのです。

 

様々なメディアにおいて、現在の日本における留学生制度の問題、影の部分が取り上げられることも多いです。しかし、当事者である留学生自身の目線で、その立場から発信される機会はなかなかありません。

汤さんの話を聴いていると、「彼ら」留学生が、日本に何を期待し、何を思いながら日々を生きているのか、思考を促すような展示になるだろうことを予測しました。

 

同じく夜間コースの齊藤叶華さんです。

テーマタイトルは『夢を追うシンガーの日記』

20歳の姉が、シンガーソングライターとして活動中。中学生の頃からデビューを夢見て、何よりも音楽を優先して生きてきました。今も日々、バーやストリートでのライブ活動、ツイキャスでの生放送など、精力的に発信を行っています。

そこで、妹という身近な立場から、写真や映像の技術を習得、活用して、応援することを選びました。姉の創作活動をプロモーション動画などで支援できれば、という思いを抱き、この作品テーマが生まれました。

 

音楽というジャンル、CDというメディアが下火となった今、それらは収入・仕事にならない時代になっています。音楽がデジタルと「断線」しているためです。

デジタル化の進んだ「ビジネス」と、旧態の「サウンド」をどう結びつけるか。そこに「映像」を加えることで、発信の幅が広がること、ゆくゆくはシンガーの姉と二人で映像・サウンドのユニットとして活動できることに加え、更に、作家自身がプロモーション映像作成の「ビジネス」を受注できるようになります。

 

 

私見です。写真目線で言うと、「ツイキャスの生放送主」という一点がひどく惹かれる。

Webを主戦場とする無名のうp主、クリエイターたちの生態は、まだきちんとドキュメントされていないのではないか。

その自宅・自室は、夢見る「クリエイター」が全世界に発信するセルフスタジオであると同時に、一人の平凡な生活者の衣・食・住の現場でもある。

カメラの画角の外側で、彼ら彼女らが、どのように背中をまるめながら自己演出、編集、セッティングをし、どんなふうに飯を食ったり寝起きしているのか、「夢」をどのように追っているのかは、ぜひ視覚化していただきたいところです。

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( ´ - ` )

「表大は夜間コースがヤバい」とうすうす感じていましたが、今年度もポテンシャルが高い。ヤバそうです。これはやばい。楽しいですね。仲良くしてください(媚びる)

 

この授業では特に

〇自身のテーマとコンセプトを、自分の言葉でプレゼンすること

に力点が置かれました。理由は前述のとおりです。写真活動においては、人前で書いたり喋ったりできないといけないからです。

 

その下ごしらえとして、手元でザッと書き出したテーマ候補の案について、

〇3~4人の班に分かれてグループディスカッション、各人が順番にプレゼン&意見交換していく

ことが行われました。

とにかくスピード優先で、一気にテーマを形にしていく作戦でした。

 

グループディスカッションにオブザーバー参加し、ニコニコしていたところ、えらく曲がる変化球が放たれ、Facebookのあの猫の絵はなんですか?」と真顔で訊かれて「えっ。あうっあうっ」と狼狽しました。SNSおそろしい。

 

※例の猫の絵 

FBとインスタで猛威をふるう例の猫。

 

午後からは、このディスカッションを踏まえて、講師と生徒の個人面談が行われました。テーマ候補がとりあえずは一つに絞り込まれたことと思います。私は立ち会っていないので、次回の授業を楽しみにしておきます。うふ。

 

図書館で写真集を閲覧です。 

久々に写真集に目を通してみたら、見え方がまた変わっていたので参りました。去年「意味わからん」「全然わからん」「なにこれ」と意味不明だった写真集が、何かしら掴みどころが判ったりしたので、「沼じゃあ!」「この世界は沼じゃ!」「底なし沼じゃあ!!」と一人で叫んでいました。終わりがありませんな。登山やクライミングと同じ香りがしました。沼です。

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今回の「作品制作」は、序盤の授業にしては少々駆け足だった気がしましたが、それもこれも、例の地震のせいです。地盤とかプレートがしっかりしてなかったせいです。しっかりしてくださいよ先輩。なに揺れてんすか。この日も昼に揺れていやな汗が出ました。 

これを書いてる最中と書き終わった後にも少々揺れて不気味でした。日本からいつか花瓶を飾る文化がなくなるんちゃうか。

 

この日の茨木市は平和でした。殺人的に暑いことを除けば平和でした。くじけそうに暑い。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山門がずたずたに崩れた妙徳寺さんが、がれきを綺麗に片づけていたので、別世界のようでした。こうして日常は何度でも再生します。大きな生き物のようです。

 

完。