【展示】DAS(総合デザイナー協会)_美しい都市の景観を考える会「展覧会」2018 @大阪市役所
H30.6/11(月)~15(金)、大阪市役所・1Fロビーで関西デザイナーの方々と展示をしました。「美しい都市の景観を考える会」による、都市への考察と提案です。
(美幸さん撮影)
私は外部(写真表現大学/大阪国際メディア図書館)からのスポット参加です。
しかし、仕事がお祭り状態だったので、ともに出展した写真の仲間(美幸さん)に店番やら会場撮影やら撤収作業をお願いしてしまいました。つまり搬入以降、会場に行けないままに会期が終了しました。ぎゃはは。上司が「もう お祭りじゃー」と叫んでいた、そんな週でした。祭でした。ぎゃはは。
ふう。
(美幸さん撮影)
余談ですが、私は勤め人で、仕事をしておりまして、決して毎日家でアブサン食らってラリっているわけではありません。スマホゲー廃人でもございません。通勤生活ですわ。通勤の合間で作家活動です。たまに訝られることがあるのですが、はい。ラリってない。ないよ。
黒い台座は株式会社さかとういす(椅子のオーダーメイドや修理、張り直しを請け負う)の坂東さんが用意してくださったもので、B1サイズ。展示作品は基本A1サイズ・5㎜ハレパネにし、その上に直接ピンを打ち込んで固定するという方式です。
美しい都市の景色というのは諸説あり、会として展示の方向性をどうするかという議論もあったものの、出展者めいめいが自由に考えて提示するという結論に至りました。お陰様で、自由にやらせていただきました。そのへんが関西っぽい。
ただし、「大阪の歴史を顧みながら、大阪のポテンシャルを理解し、未来にイメージを投げかける」といった本筋の部分は、最大限に尊重しました。ちらほら「今回の展示が一番良かった」との個人評価をいただいたのは、そういうコンセプトの明快さの効果だと感じます。うへえ。
◆タシロユウキ(写真作家)
私ですが、「写真表現大学」入学以来、2年かけてやってきたテーマをストレートに打ち出しました。上記のように、本展示の趣旨を踏まえ、都市のデザイン✖過去と現代という図式を意識しています。
80年代の生まれなので、アニメやゲームに包まれて育ってきました。もはや心身の一部がゲームです。この「ゲーム脳」から視たとき、都市はリアルなゲームの場として立ち上がってきます。
そう思いませんか!?(机をたたく) そうなんですよ!!(机をたたく) スマホでゲームしてる場合じゃない(机をたたく)、今ここがゲームなんだ!!!(机をたたく) はあはあ。
それで大阪・梅田の街を、毎日のように通勤で通るので、撮り続けてきました。すると、照明器具や防犯カメラなどの無名のオブジェが、奇怪なモンスターとなって立ち上がってきます。一方で、過去に高名な建築家が、大阪の街に哲学を込めようとした痕跡も、目に留まります。
そこで、過去の建築家の思想と、現在の有象無象のサブカル世界が、繋がっているのではないかと理解しました。展示作品は、村野藤吾の設計した「梅田吸気塔」と、ホワイティうめだで発見した無名の器具です。
こういう感じで我々の都市生活、日常を再確認して、埋もれしモンスターや秘境などと遭遇・召喚できたらいいなあと考えています。仕事せえよって話ですが。はい。仕事します。してます。
お役所勤めの皆さまも、よいゲームライフをお送りくださいますよう。
( ´ - ` ) あんまり見てくれてなかった模様。
( ´ - ` ) 興味ないんかな…
さて他の出展者さんの作品もいくつか紹介。
◆垣田明子 氏(フォトグラファー)
私が80年代以降のゲーム世界に心を奪われた世代なら、垣田氏は70年代万博の圧倒的な祝祭の熱と色彩に「大阪」の力を見る。
確かに、この異様な熱気は、私が生まれ育った時代には無く、逆に物凄い速度で日本は縮退していった。ある意味うらやましい。
作品は写真のコラージュで立体的に構成されている。大胆にも手作業で折り、曲げられ、一枚のカンヴァスに配置され、当時の熱気を炎のように立ち上がらせる。
◆秋友博史 氏(CGクリエイター/ナッツデザイン代表)
大阪市の取り組む「HOPEゾーン事業」(市民との連携・協働による、地域固有の環境を活かした居住地づくり)への取組提案として、交差点のアスファルト舗装に「文様(もんよう)」のデザインを盛り込むことをプレゼン。
写真を撮っている輩は、路面を犬のように眼で追うが、確かに常人の暮らしの中ではあまり意識されることがないだろう。視覚に与える効果が何かあるかもしれない。
◆澤村洋二 氏(マルチアーティスト)
1枚の四天王寺の写真を起点に、四天王寺界隈の歴史と今、それぞれのテキストとコラージュによって対置。
593年の建立以来、四天王寺界隈は、都市からこぼれ落ちる者たちを掬いとる場所、「社会的身分秩序を越えたアジール(解放区、聖域)であり、かつては、非人・乞食の蟠踞するエリアだった」。それが現代ではオタク、サブカルの聖域という、新しい意味の「アジール」として機能していることを指摘。
この考察とテキストの筆の運びはすごく好きで非常にためになった。「時代」でエリアを串刺しにすると見えてくるものがあるなあ。
◆坂野真子 氏(アートディレクター・美術家)
すっかり小洒落た梅田の茶屋町周辺はかつて、菜種油の一大生産場であり、菜の花畑であった。マジかよ。そんな衝撃の歴史を踏まえて、現代と過去を同居させたコラージュ作品。
茶屋町画廊やNU茶屋町の並ぶ街並みと、その合間から天を突くピアスタワーといった「今」の光景を手で描き、手前の菜の花(=過去)は写真が貼り付けられている。現実の光景を絵筆で、過去のイメージを写真というリアルで交錯させた面白い構造。先述の澤村氏と近い。こういう時空間を操作する構造はとても好きだし、力がある。
◆原英雄 氏(shop planner / GEN DESIGN PRO)
都市だ\(^o^)/
やばいなー。
80~90年代初頭の人種にはこれは懐かしいし永遠に新しい。都市を飛行機の窓から見たら「IC基板のようだ」といい、回路を見たら「都市のようだ」と言っていた、どっちやねんていう、あの頃の感情が蘇る。都市は永遠に新しかったし、老朽化や耐震性能で悩むことになるなんて思ってもいなかった。なかったんだよ。ああ、都市空間の概念を純粋化してデータ保存できたらいいのに。
スタイリッシュで力があった。
◆佐藤美幸 氏(フォトグラファー)
私と同窓で「写真表現大学」の仲間。
ご覧ください、日本で一番長い「天神橋筋商店街」ですよ。
商店街という、「長さ」と「配列」という強いフォーマットと、店主や客が織りなす「営み」のカオス、その両方を有するインフラを、写真でどのように表現するか。この命題に彼女は「写真という矩形でフォーマットを生かしながら、琴線に触れた事物や人を立体的に浮き上がらせる」という手法を取った。
私が街を歩くと、人間をシャットアウトし、無機物のモンスターとの会話が始まるので、ナニワのナウシカと呼ばれていますが(うそです)、美幸さんは「人」とのやり取りを通じて、関心が動き、シャッターを切る原動力となっている。
なので、おっちゃんおばちゃんらの湧き上がるような「営み」を、作品の中でどう「逸脱」させるかに苦心していた。それが成功していると感じる。愛と情はフォーマットを破るのです。こればかりは、生でじっくり見ていただく他はない作品。
という感じです。紹介していたら生活が一層破綻するので、ここで筆をおきますが、皆さん個性的で面白かったです。個性は大切です。役所の皆さんも、個性と知性と感性をぜひやっていきましょう。なんで私が役所の人にこだわるかと言うと、私の所属がわりと近いところにあるためです。なあ~ 次長さん課長さんよう~ 表現の沼においでよ~。そのへんはまたおいおい。
( ´ - ` ) 完。