水都2009 「水都2009」ヤノベケンジ特集(後編)
更新が遅すぎて、「水都2009」も終わってしまいました。早いものですね。
前回の続きとして、「水都2009」で展示されていたヤノベケンジの続編をレビューします。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
★Link
水都2009(1)フローティング・ダック
http://mareosiev.hatenablog.com/entry/20090922/1345273859
(2)ヤノベケンジ特集(前編)
http://mareosiev.hatenablog.com/entry/20090924/1345273859
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
○会場;京阪なにわ橋駅「アートエリアB1」
ヤノベケンジの初期の代表作や絵本原画、巨大絵本、記録映像があります。
2003年に『メガロマニア』展で展示された数々の作品が集結し、ヤノベ世界になっていました。
普通に京阪電車の駅スペースが・・・通勤通学の心強いお供になったことでしょう。
こちらも撮影OKだったので、もう「よくわかってらっしゃる!」という気持ちでいっぱいです。丁重に撮らせていただきました。。なむ。。
個々の作品に込められた設定や背景については調べきれておらず、単純なことしか書けませんのでご容赦!
悪そうな黒マウス。
鎧が地味に、ミッキーマウスのマークです。
ミニ・ジャイアントトラやん(矛盾した呼称だ・・・)らを乗せた船を率いる船頭のようだ。
私、関西にはこういういかつい武装ネズミが暗躍しているようなディズニーランドを作ってほしいなあ。凶悪そうなのを。
ミニチュア船。
ミニ・Gトラやんが立ち、『森の映画館』もあり、『トラやん』を乗せた観覧車が回っています。
未来の「方舟」でしょうか。世界の滅亡に際したときのヤノベ流サバイバルとか。
これをGトラやんの実寸で実現したらものすごい愉快だと思います。いつかお願いします。もちろん行先は、東のネズミ王国。ランドとシーの二箇所まとめて・・・。
水パイプ吸ってるような横顔になっていますが、船の上のミニ・Gトラやん。
可愛らしい。
たぶんこれは『フローラ』という巨大彫刻作品のミニ版と思われます。
明日の音色を奏で、ある時は警告の警笛になるという。
オッサン顔のトラやんよりこっちの無機質で無垢な顔が好きかな・・・。
このミニチュア版は売ってたら欲しいですね、軽そうな素材だ。
妄想世界の主にして、プレゼンターであり、探究者であるヤノベケンジご本人。
映像より。
これは確か「マンモス・プロジェクト」について言及している様子。
2005年に開催された「愛・地球博」(愛知県)における「マンモス発掘・展示プロジェクト」にぶつける形で構想されたもので、
シベリアの永久凍土より発掘された太古の亡骸を、自然との調和、エコを唱え「地球の総ての“いのちと未来”のために!! 」と訴える万博のテーゼに対し、
現代の科学・工業文明が生み出した廃棄物を繋ぎ合せて作り出された巨大な機械のマンモスが、騒音と排ガスを撒き散らし、人や地球に全く優しくない暴れ方で名古屋市内を闊歩。遂には捕らえられ、船に括り付けられて、シベリアの永久凍土に埋めて封印されてしまう。
という壮大なアンチテーゼを語っておられるところです。
もうこの人めちゃくちゃ好きだよ本当に(>_<)
そうでなくては。
ガラスの壁からは更に地下の、駅改札へと向かう道が見下せます。
無数のトラやんが。
中央のは標準サイズ(96cm×45cm×33cm)、
その周囲にいっぱい立つのは「ミニ・トラやん」(34cm×19cm×14cm)と思われます。
陽気なお人や。。。
とりあえずいっぱいいます。
子どもと大人の融合体ですからね。どうやって増えてるんでしょう。
絵本を読むと、どうも「トラやん」は各々の心に潜む、他者への関わりや、自己表現や、空想への「肯定」を促す気持ちが形になって現われた存在のようにも感じるんですね。或いは、外部からもたらされた、目に見えない「きっかけ」の具現化した姿とか?
だから、これは、妖精みたいなものかも知れませんね。
幼児体型でおっさん顔、おっさん声の、私の中の妖精さん。
いやあああ。
おっちゃああああん。いっぱいおるうううう。
(*_*) 元々は実父の腹話術の人形、っていう出自からして色々と愉快すぎます。天才やなあ。身近なところからもぐいぐい行かはる。
『サバイバル システム トレイン』(92年)
来ましたね。懐かしい。
03’メガロマニア展で見たように思います。
初期のヤノベ氏の作風は、かなり「サバイバル」や「終末の世界」に向けられていたのが印象深いです。いかにして困難な状況を生き延びるか。いかにして子供は生き延びるか。
先頭車輌を撮ったらたいへん暗かったです。
会場に作品がいっぱい置いてあったので横にも回れず。
走ってほしいですね。。
解説によると、
『酸素発生コンテナ、蒸留水装置コンテナ、家財道具などサバイバル時に必要な機能をもつ様々なコンテナを有するヤノベケンジの私設列車。』
らしく、長さは『無限に延長可』だそうです。
生き延びる気が満々なようで、「家財道具」「私設列車」あたりで「え?」となるセンスが愉快です。
だいたい、私設ってことは自分で線路を引かなあかんということよなあ・・・有事の際に線路なんか引いてられるかな・・・っていうか一般人は線路を持ってないから発注せなあかん・・・それ以前に線路ってどこで買えるんか知らん・・・。
(`∀´) 愉快。
もしやこの色は・・・。
保存食品みたいになってますがな。
ひんやり冷凍保存の効いたいつでも新鮮なトラやん。
いやあああ 食べ物
とりみだしました。はい。
『タンキング・マシーン』(1990)
これこそ初期も初期、彼がアーティストとしての評価を得た最初の作品です。
この作品発表によって、第一回キリンプラザ大阪コンテンポラリーアワード最優秀作品賞を受賞し、スタートを切るわけです。
いつ見ても生々しいです。実際に水を入れてあるせいかもしれません。
それもそのへんの水道水ではなく、生理食塩水なので、私達の肉体に近いものを感じてしまうからでしょうか。
『タンク内部は体温程度に温められた生理的食塩水で満たされ、体験者は感覚機能を剥奪された状態で浮遊し、瞑想状態に入ることができる。』
実際にイベント時には子供が中に入れてもらっていますね。
エヴァよりずっと前にこの体内構造を思いついていたのは凄いと思います。
用途が「瞑想」っていうのは全く別次元ですが。
むしろこっちの方がいい。ガスマスクだし。
どうでもいいけど水を入れたり人を入れたりする作品って、後で倉庫にしまっておく時の保存やメンテナンスが大変そうですね。カビとか腐食が普通に進行しそう。
ガスマスクって何であんなに怖い顔なんでしょうね。
小学生のときに夢に出るぐらい怖かったのを覚えてます。
けっして喜んでかぶりたいと思えないデザインです。
有事といえばガスマスク。
インパクトの強さは最高です。そのへんの、イメージを喚起する素材の選び方にヤノベ氏のセンスが光っているんでしょうね。
『ミニ・タンキング・マシーン』(2004)
子供用のタンキングマシーン。
そうだったのか・・・。子供用サイズっていうことなのか・・・。
一人で入って、中で溺れたらさいあくですね。
入るときは保護者同伴で。
写真も作品。
ヤノベケンジ自身がアトムスーツを着用して、チェルノブイリや万博公園、太陽の塔内部を訪れたときのもの。
これもいい写真なんですわ。
『アトムスーツ』(1997)
ガイガーカウンターが取り付けられたスーツ。人自体がセンサーになるというもの。
トラやんが装備しているスーツですね。
メガロマニア展の時はまだトラやんがメインキャラになっていなかった(ヤノベ氏の実父が前座で腹話術を披露したにとどまる)ので、会場内はキャラ無しの、無人スーツばっかりだったのです。
確かミニチュア版のアトムスーツ人形も無数に展示されていたと思いますが、それも無キャラでした。
無キャラ版はシリアスな魅力がありますね。放射能というイメージに率直に結びつきます。
案内役の人みたいにしてにこやかに立ってはります。
本当に子供かおっさんか分からん時があります。どっちや。。
動きは可愛いんよな。
体格は3歳児。
ほんと接客業に向いてるお方。
そして机と椅子のあるスペースでは、関連本が読めるようになっていました。
なんかめくるのが大変でした。開いたら幅がメートルあったと思います。
重い。。
こちらは『ラッキードラゴンの おはなし』より
黒い太陽、こと「ウルトラ」。
いい話でしたよ。
ドラゴンの光線で変身した車や地下鉄、それらに乗っている人間の変貌ぶりが非常に好きです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「水都2009」でのヤノベケンジ関連展示はこのような感じでした。
別項で、彼の手がけた「ラッキードラゴン」のスペシャルツアーについてもレビューしていますので、そちらも合わせてお読みください。。
★Link
水都2009(4)その他アート作品
http://mareosiev.hatenablog.com/entry/20090923/1345273859
★Link
ヤノベケンジ・ラッキードラゴン スペシャルクルーズ
(1)http://mareosiev.hatenablog.com/entry/20091014/1345273859
(2)http://mareosiev.hatenablog.com/entry/20091016/1345273859