森芸(勝手に略称)、岡山の西の端・新見エリアから慌てて真庭、蒜山をラウンドし、17時closeに滑り込みセーフで写真作品も見て回れた。これは快挙です。快挙。
(※津山、奈義、鏡野の3エリアを丸々残してゐます)(あかん)
エリア、地図のおさらい。岡山県は広大であり、とてもじゃないが1日で回り切れないと思い知って、膝を地についている、昼。
西の黄土色:新見エリアにおり、とにかく時間が許す限り、東へ引き返しつつ、隣の真庭エリア(H17)を通ってピンクの津山エリアを消化しましょうという作戦を立てる。妥当なように思われたが、すぐさま岡山のデカさに破れ、机上の空論は崩壊します。これぞ地域アートイベントの醍醐味(自虐
あさイチから新見エリアを超がんばって回ったのだが。洞窟 × 2が凶悪だった。
隣のエリアへ移動する前に、ひるめしがほしい。ご当地ものが食べたい。新見のご当地グルメは、、、
ないのか。ない。津山は「ホルモンうどん」があるが、ここは新見なのだから(ない)。
いや。
◇昼飯:「ぽぱい」かつらーめん
「かつらーめん」(トンカツラーメン)という珍種を見つけた。なんとラーメンの具としてトンカツが入っている。別皿で定食にする手間すら惜しかったのか、サンドウィッチ伯爵を超える合理性オバケが生んだかと想像すると凄みがある。
お味は、
・・・ラーメンとトンカツ(´・_・`)
それぞれ個別に食べた方がいいな。個別の味がします(困惑
◇勝山町並み保存地区 /勝山文化センター
飛びます。お隣の真庭エリア・勝山町に来たよ。高速を使ったのに1時間弱かかった。
ちょっと待ってえな。隣のエリアに移動するだけで1時間かかってます?
下道移動がすごく時間を食っていることに気付いた。
今、14:30。
あかんこれ詰んだ。終わりです。17時にどの施設も閉まるんですよ。残り時間・あと2時間半。津山まで1時間かかるとして、あっあっ(※津山には展示会場が9つあります)
「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の旅、完。
雨が降っている。けっこう降っている。
まあ、まず「勝山文化センター」でトイレ借りて情報を得ましょう。やけくそ化して逆に冷静になってきた。
リヤカーと写真カードが置かれていて、初見のロゴがある。「森の芸術祭 晴れの国・岡山」とはまた別の、地元のアート企画展示をやっているようだ。「MANIWA BAUM(まにわばうむ)」、真庭市の様々な場所で対話重視の活動を行う文化コミュニティだという。
ビッグネームの作家を擁する大きな展示イベントに合わせ、地元・地域の地道な活動をお披露目するというのは、圏外から来る人間にとっても有難い。後者だけではわざわざ見に来れないのもさることながら、「著名アーティストの地域リサーチ&一回性のイベントだけでなく、地元にも活動体がある」と知ること自体が重要なのだ。しょっちゅうXでも言われている地方と都会での文化資本格差、アート体験機会の圧倒的格差について、地域側の声というか動きをやはり目で見たい。
名刺サイズの写真をカードにして配布している。インスタのようでもあるが、来場者が気に入ったシーンを私的に持ち帰れるところが面白い。写真・風景をTLの儚さから、モノとしての確かさへと、強度を取り戻させる感がある。
写真自体は日常系で、高校生ぐらいのティーンが、地元での日常生活を舞台に撮っている。ややレトロみのあるくすんだ色味が若さと郷愁を備えている。何と言うこともない光景だが自分の思い出のように微妙に錯覚する。
◇勝山町並み保存地区 / 町並み、のれん妹島和世
気は進まないが雨の中を散策せざるを得ない。町並み保存地区の商店街にずっと軒並み紅白の帯が掲げられていて、なるほどこれが作品なのかと思ったが、後に店の人に話を聞くと「雨がひどくて祭りが中止になった」とのこと。これは祭りの準備だったのだ。
紅白の幕だけでなく、店店にそれぞれの特徴に合ったのれんが掛かっていて、しかも画風が統一されている。和のデザインが見事で、これも芸術祭の作品としか思えなかったのだが、作品名などの記載がWebにもチラシにも無い。う~ん。作品ではないのか。たいへん風流で、センスがよく、それでいて全体の基調が揃っていて、完全に地域アートとして正しい感じなのだが、ではこれは何の産物なのだろう。
町並みが楽しいので、このまま探索を続けましょうね。作品の有無に関わらず、地元散策そのものが楽しい。それはもう芸術祭としては最高の様相を呈している。(ただし時間がない。つらい)
骨董屋を冷やかし、いぬに挨拶をしたりし、堪能します。骨董は柱時計やキセルや古い旅館で出てくるようなお椀などがあり、見てて楽しかった。ここで、今日が実は「祭り」であったことや、昨年の「勝山喧嘩だんじり」で死亡事故が起きたのでだんじりは自粛されていることを聞いた。RPG同様に人の話を聞くのはわりと重要ですね。
地方は張り紙も面白い。「周年祭」のじいちゃん × ストリート風味、さすがや。どうも全体的にちゃんとしたデザイナーが入って企画立案している感じがある。デザインが、計算された雑味と風味をもたらしている。
デザインが勝ちすぎると均質化し、全てが都市化というかWeb化するんで難しいところではある。ここの暖簾は絶妙によい。鄙びが食いついてきているから。
古道具屋とレトロ映画ポスター屋とカフェが合体したような店が(店なのか?)。
町並みの最果てには「御前酒」蔵元の酒蔵があり、道の両脇に工場と店舗が展開している。大きい。集落で一番大きい屋敷で、白い蔵が続いている。
ショップがおしゃれでして、酒だけでなく酒粕を使ったオーガニック食品、石鹸などがあり、全般的に高尚な雰囲気で、酒といえば赤ら顔の酔っ払い、放言も股もだらしない、社会不適格、などという迷信めいた連想を浄化するような品揃えで、恐れ入った。しかし何歳になっても酒粕をどう食ったらいいのか分からない。塗るのか?
蔵には獣が彫られていて、狸か鼬か何なのか、獰猛そうな牙が見え、よかったです。
◆勝山町並み保存地区 /妹島和世
町は面白かったですね。じゃあ「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の作品はいったい何処にあったんやと、あの妹島和世の名前だけが宙に浮いてしまって、しかし建築物を建ててるでもなさそうだし、古民家貸し切り・空き家活用インスタレーションなどでもなさそうだし、わけがわからないので、注意を払って歩いていましたら、どうも木製ベンチが作品のようだ。
町並みのあちこちに同じ系統の、小動物のような木製ベンチがある。クマムシとかが歩いているような形をしている。
妹島和世、「父親が真庭市旧勝山出身であり、幼い頃より同地に馴染んできた。市の観光大使でもある。」へえー。「動物のような、生き物のような椅子をつくり、人間と一緒になってその場を楽しんでいるような空間をつくりたい」そうですね。まあ本当にそう。そういう椅子である。
なんせ雨だし濡れているから座れず、中途半端に離れたところから見下ろすしかなく、残念な出会いとなった。
しかも大きなやつは、足の角度なりが不安定で難があったのか、座らないでくれと注意書きが貼りだされている。不遇である。
人間が座れないことで、いっそう独立した生き物のようであった。これはこれで良い。いいのか。
「勝山町並み保存地区」だけで盛り上がってしまった。血圧計で血圧を測って遊ぶなど余裕をきめ。
もうあきらめたのだ。津山エリアとかは別日で来ます。二日に分けて鑑賞すればよいだけのこと。腹をくくれば気が楽になった。アー。
しかし現在15時半。最後どうしましょう。
北の蒜山、「GREENable HIRUZEN」には写真の展示がある。川内倫子、上田義彦を無視するわけにはいかない。いくか。ぎりぎり間に合うか。
つづく。