写遊百珍

大阪国際メディア図書館「写真表現大学」研究ゼミ生・TA。各種講座のレポや、関西・東京の写真展、アート展示を特集。

【ART】R2.6/27_Ku Klux Kunst「Corona Style」@Art Spot Korin

【ART】Ku Klux Kunst「Corona Style」@Art Spot Korin

 

世界中で「コロナ」と聞けば脊髄反射で、新型感染症の病名・感染そのもの、そして嫌悪や恐怖心までもが連想される昨今であります。感染症以前に流通していた「コロナ」という名称・商標はその意味を完全に(悪い方へ)書き換えられてしまった。本展示ではそんな言われなき「コロナビールがモチーフとして登場する。

 

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【会期】2020.6/16(火)~6/28(日)

 

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「クー・クラックス・クンスト」、少々危険な響きのするユニット名だが、「Ku Klux」=「kyklos」、ギリシャ語で「円、輪、循環」の意、「Kunst」はドイツ語で「芸術」の意である。川中 政宏/現代美術家、河野 晃久/デザイナー、堤 圭司/クラフトマン、の3名から成る。

 

 

「コロナスタイル」というなかなかに前向きな、挑発的なタイトルにそそられます。アートというのは潮流に気真面目に向き合うだけでなく、軽やかに(かしこく)茶化すこともできる。そういう可能性を見せられると嬉しくなります。

 

DMのロゴ、ギャラリー1Fの展示からして、完全にコロナビールです。ありがとうございます。のどがかわいてきた。

 

 

今年初旬から世界を席巻した「SARS-CoV-2」、通称「新型コロナ」だが、「corona」の意味を改めて確認すると、「ラテン語で”冠”の意味」「太陽の外周に噴き出す温度100万K(ケルビン)に達するガス」である。ウイルスの名称として当てられたのは、ウイルスの表面に並ぶ突起物・スパイクの並びが「王冠」に見えることに由来する。

 

コロナ禍以前には普通に使われていた「コロナ」という語が、世界中でコロナへの忌避が強まる中で、意味を一変させていった。その影響をモロに受けたのが「コロナビール」だったろう。4月上旬には日本でもコロナビール売上不振、「風評被害」を伝えるニュース記事が出回り、当時「そんなアホな」「言葉狩りグローバル化だ」と悲しく憤りを感じたことを記憶している。

だがビールの売上ダウンは工場や流通の休業による影響であって、小売での売行き自体は風評でもなんでもなかったという記事もあり、一方では「ファンが買って応援した」「逆に知名度が上がって売上が上がった」等の記事も見たのです。なんやねんそれ。結局ちゃんと事実関係を整理していなかったので結論が分かりませんが、このへんの印象や憶測による言説がまた「コロナ禍」なるものの裾野、領域を曖昧にしている一因となっている。

 

新型コロナとコロナビール売上との関連をまとめたサイトを発見。

www.advertimes.com

 

そもそも「コロナビール」を売ること・飲むことと、「COVID 19」感染との間には、想像を絶する断絶・距離があり、そこを結び付けるなんて、もはや異次元ワープ航法めいたSF的な飛躍なのだが、民の想像力(あるいはそれを騒がせようとするメディア側の想像力)の飛躍は、優れた芸術家やクリエイター個人の想像力を、しばしば容易く凌駕する。(5G電波とコロナ感染を巡る「想像」と破壊活動も同様だ。)

リヴァイアサンの絵を思い出させられる。王の姿を描き出すのは無名の民。が、コロナにはウイルスと患者(=被害者かつ感染源)という見えない「実体」が潜在するため余計にたちが悪い。

たどり着けない(排除できない)「実体」を求めて、人々の不安や怒りが真っ先に憑依する依り代となったのが、連想ゲームとしての「コロナ」という語、音韻なのだった。

 

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会場では冷えたコロナビールを買うことができます。中央の壁面に設置された栓抜きで開栓し、その下のバケツに王冠が溜まってゆく。飲み終えた空き瓶は出窓あたりに「作品」として並ぶことになる。

COVID19の直感的連想の依り代と化した「コロナビール」について、音韻を除くラベルや色味、瓶の形状といった諸要素に解体して観察し、飲み、「飲料」としての実体を改めて取り戻す場のように感じた。

 

 

2階に上がると、もっと沢山のコロナビールが列を成している。

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( ´ - ` ) 暑い時期これ視覚的においしそうでよだれが出ますね。じゅる。

また謎解きの予感ですが、コロナビールの色が微妙に違う。

 

瓶を数えると47本ある。

瓶=都道府県、濃度=新型コロナ患者数 という連想である。

東京、大阪が明らかに濃く、その周辺都市も色付いている。初期に感染者が多く発生した北海道、愛知も少々濃い。

 

その対面に置かれている1本は格別に色が濃い。

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バイオハザードマークまで付いている。なんだこれは。

 

( ´ -`) えっ?

 

尿。

 

 

(  >_<) ぐぬう。

 

 

アート・・・。

 

 

2Fをあとにして階段を降りようとすると、上りでは見えなかった筒が。

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長い筒にコロナビールがぶっささっていて、ポタポタと1滴ずつ黄色のオイルが筒に落ちていく。

これはまるで、日々積み上げられていく新型コロナ感染者数の累計のようではありませんか。

 

この展示を見た時は、ちょうど「第1波」が落ち着き、「新型コロナ?ありましたね~、大変でしたね~~」的なノリがあったんですよ。

あったんやで。

そこから現在、1ヵ月。またなんかおかしなことになっており、大阪府の感染者数が毎日100~200人台で推移、京都府も20人前後が出ている状態です。コロナを忘れることを許さない世界。なんなんだ疫病とは?

 

こういう、時代の動きにスピーディに伴走するような展示は、今かなり重要なのではと改めて感じました。このコロナ、長い付き合いになりそうで・・・。

 

 

( ´ - ` ) 完。