写遊百珍

大阪国際メディア図書館「写真表現大学」研究ゼミ生・TA。各種講座のレポや、関西・東京の写真展、アート展示を特集。

【diary_新型コロナ】R2.3/20_大阪府~兵庫県の往来自粛・3連休初日。ギャラリー(アビィ、Solaris)、トーク打ち合わせ

【diary_新型コロナ】R2.3/20_大阪府兵庫県の往来自粛・3連休初日。ギャラリー(アビィ、Solaris)、トーク打ち合わせ

往来自粛ですって。まじすか。3連休の初日は静かであった。 

マスクは相変わらずない。

 

新型コロナウイルス感染症は、真綿で首を絞めつけるように、今なおじわじわと日本列島を締め上げている。弱ることなく、されど爆発もせず、蛇がねずみを飲み込むような速度で、人間達を着実に追い込んでいる。

 

3連休前夜の、3月19日(木)の晩。大阪府・吉村知事と兵庫県・井戸知事がそれぞれ記者会見を行い、3連休の大阪~兵庫間の移動を自粛するよう呼びかけた。最悪の場合には、両府県の感染者数が3300人を超えるという専門家の試算が厚労省を通じて伝えられたためだが、井戸知事は辛口で、「大阪はいつも大げさ」「事前相談もなかった」と不快感を露わにした。

(2020年3/19 19:10_NHK公式サイト)

 

大阪府兵庫県の往来を自粛」というフレーズのインパクトは関西人にとって相当な衝撃があった。「京阪神」は生活圏としてもビジネス上も観光としても一体のものという感覚があったところ、急に境界が意識されたのだ。もちろんフランスのように、警官が繰り出してきて取り締まるわけではないのだが、Twitterではにわかに「翔んで埼玉」のオマージュで「翔んで兵庫」のタグを連呼したり、兵庫県という括りがそもそも旧ユーゴスラビア並みに無理筋な行政単位であることを茶化す「ヒョーゴスラビア」なる造語が飛び交った。政治的な規制・抑圧には感情的になりやすい民衆も、この時は珍しくネタに走り、兵庫県いじりに花が咲いた。

 

のちに大阪府・吉村知事が根拠とした国からの要請なるものは、大阪府兵庫県間の往来を自粛せよという趣旨ではなく、「大阪府兵庫県内外の不要不急の往来」、すなわち「大阪府内外、兵庫県内外の移動」について自粛を求めることが対策案として示されていたことが明らかとなった。誰も「大阪府兵庫県を行き来するな」という指定はしておらず、要は大阪府側の、行政話法の誤読であった。井戸知事の呆れ顔が思い浮かぶ。

 

それでもこれでも県の方針としては、連休明けまでの「自粛」が決定されてしまったので、3/20(金)当日になって急遽、兵庫県立美術館は3/17に再開した「ゴッホ展」を正午で打ち切り、同日午後から3/24(火)までの休館を決定した。あまりに急なアナウンスで、知らずに行って駆け足で観る羽目になった観客も多かっただろう。かなりの異例だ。

(2020年3/20(金)15:14 NHK公式サイト)

 

そんな中、私は昼から外出して長堀橋へ向かった。夕方から梅田で打ち合わせがあるので、それに合わせて近頃行けていなかったギャラリーに立ち寄り、展示を観ようと思った。観ような。しかし新型コロナの影響はすさまじく、ニコンキヤノン富士フイルムオリンパスといった主たるメーカーギャラリーが臨時休館を延長してしまった。当初は政府の自粛要請に応じて、どこも3月中旬までの休館を発表していたが、感染の収束目途が立たず、引き続きの自粛が要請されたため、身動きが取れていない状態だ。おい写真。観るもんないぞ。文化が凍り付いている。

 

街中は人も少なく、太陽の光とビルの影ばかりが目に鮮やかだったが、もともと長堀橋船場あたりはオフィス街なので、感染症や自粛と関係なく土日祝日の昼下がりなどには人の往来が少ない。なおかつ住民が出歩いていて無人というわけでもなく、コロナ前後の変化が分かりづらい。わからへんぞ。マスク着用者が意外と少ないのは、人がまばらなのと、単純にマスクが市場に出回っておらず、家の在庫も尽きているためだろう。しんどい社会だ。

 

長堀橋駅から堺筋を少し北上し、順慶ビル2F「ギャラリー・アビィ」を訪ねる。大阪の写真系ギャラリーとして名をよく聞くものの、鑑賞の優先順位の都合で未遂に終わっていた。ギャラリーごとに取り扱い作家・企画のタイプが分かれており、どうしても巡回ルートが自分の求める系統に偏るのです。はい。

 

ビルの中は部屋ごとに小ぶりな古着屋、雑貨店、ヘアサロンなどがあり、大学時代に来たら楽しかっただろうなと思う。少々レトロな店の迷路感は大阪農林会館に少し似ている。

 

ギャラリー・アビィでは個展:門田麻緒「HOME」を展開中だった。20枚ほどの写真がちょうど収まるスペース。

モノクロ写真で、スナップ風のポートレイト。作者が学生時代の恩師の定年退職を機に、自身の知己を訪ね、会話と共に写真に収めていったものだという。人によってブレているのは、会話の流れ、動きの中でシャッターを切ったためで、その時の臨場感や、相手とのノリがそのまま反映されていると言えるだろう。そのような話をギャラリーオーナーが教えてくれた。

作家ステートメントは自身の過去、傷について言及されているが、写真自体は前向きなものだった。

 

 

続いて「gallery solarisへ。今回は「旅」をテーマとしたグループ展「Life is a Journey」が開催中、オーナー橋本氏含めて12名が参加。 

( ´ - ` ) 旅なあ。全然旅に出てない。 

自粛ではなく、私は物理の旅に行きすぎたので、まあ国内ばかりですが、なので今は作品を通じた精神と思索の旅に夢中です。ということにしといてください。常時トリップがキマってるのでよけいタチがわるいという意見もあります。うへえ。さいでんな。

人によって思い思いの旅がありますね。旅は個人の思い出、記憶と合致したもの。そこに表現の文体が乗ってくると、個人のものを超えた世界が広がります。その意味で橋本さんの作品は余白が生み出す詩があって別格だった。

 

立ち話、最近Twitterで騒がしかった、美術界(絵画界隈)の盗用告発騒動についての話題に及び、もやもや感から話が終わらなくなる。駆け出しの作家をTwitterで晒しながら糾弾し、その揉めをギャラリー側が全方向配慮から丸めにかかり、その経緯もまたTwitterで公開されていたので、部外者ながら色々と考えさせられた事案であった。事案ですよ。まあみんなワニの100日目で夢中だけども。美術界がワニにくわれた。

 

 

( ´ - ` ) 移動しゃす。

 

16時、梅田。

いつもより人は少ないものの、知事が言っていた「自粛」が「大阪府兵庫県を越えなければいい」=大阪でうろうろする分には構わない、という解釈になっているのか、自粛要請下にしては人が多い印象だ。

待ち合わせのグランフロント北館9階のタリーズへ向かう。 

人が少ないと言えば少ないが、多い瞬間もあるのですよ。へんなの。グランフロントの屋上テラスまで来たのは久々。旧貨物ヤードの開発を観察することも忘れて数年間放置気味です。あかん。

 

仕込みをします。

 

写真作家、波多野祐貴氏と打ち合わせ。

自主運営ギャラリー「gallery 176」のメンバーに加入したとともに、4月末に個展を開催されるに当たって、展示のレビューとトークショーのご依頼をいただいた。そのアウトラインについて打ち合わせである。「ストロングゼロを配りましょう」「ゼロ1択」「おわったら飲みに」 アウト。難破船みたいな発想力しかなくてすいまへん。グヘッ。

  

www.hyperneko.com

 

波多野さんは近年、活躍が目覚ましい。昨年10月には「HIJU GALLERY」で公募グループ展に参加。そして今年、第22回写真「1_WALL」で「審査員奨励賞」(姫野希美選)を受賞し、また「清里フォトアートミュージアム」の「YP2019」(ヤングポートフォリオ)で作品が収蔵された。おめでとうございます。

話していたら我が事よりも主語が横に広がってきて「今の10代、20代って、写真(界)に来てるのかどうか・・・それすら分かりませぬ・・・」「動画?YouTubeinstagram? いったい、わかものは、どこへ・・・」 なんか過疎化の進んだ島の島民になった心境で、しめっぽいコーヒーをすすりました。メンタルが役人です。へい。

 

( ´ - ` ) またトークの日時などが確定したら、広報します。皆さんよろしくお願いします。ストロングゼロは配りません(たぶん  あっ差し入れしてくれても良いですよ。摂取後どうなるかは謎です。

 

GWには新型コロナ騒ぎが収まっているといいですね。経済まじでくたばるぞ。ただこうした圧倒的危機に際すると、日本をアップデートしないとやばい的な、News Picks的な、意識高い&今がヤバい的な煽り系言説がものすごく薄っぺらく感じられて、それはいいなと思いました。煽るどころかウイルスに焙られとんねん。わああ。

 

確かに3連休にしては不自然にJR利用客が少ない、確かに異常事態です、確かにこれはおかしい。311の時には、民の活動の縮退はあくまで「空気」を読むものに過ぎなかった。今回は「感染」という直接的な恐怖、危機が作用している。だが西欧の状況と比べると、この平和さはどうだろうか。感染は発生してはいるものの、民衆は従前の生活を続けている。英独仏伊と全く異なる系統のウイルスなのではないかと錯覚してしまう。どうかな。

 

( ´ - ` ) 完。