写遊百珍

大阪国際メディア図書館「写真表現大学」研究ゼミ生&TA。各種講座のレポや、関西・東京の写真展、アート展示を特集。

【ART】リボーンアート2019⑤ 宮城県・網地島エリア_南部(長渡港~ドワメキ灯台)

【ART】リボーンアート2019⑤ 網地島あじしま)_南部(長渡港~ドワメキ灯台

( ´ - ` ) 島内の作品を観れてません。なぜなら会場が開く前に行ったからだ。わはは。

結論として、とてもすてきなねこがいます。

 

 

( ´ - ` ) おわり。

 

 

( ´ - ` ) だめすか。

ねこがいる。それだけで人類の諸問題は概ね解決する。するのではないか。どうだろう。するのである。ねたみ、そねみ、つらみは、猫で軽減するのであった。

 

 

( ˆᴗˆ )完。

 

ええとですね。

なぜリボーンアートの作品を観ていないかというと、展示のオープン時間より早く島に入り、それより早く島を出たからです。

こんな奇妙なスケジュールにしたのは、1泊2日で大阪からやってきて、牡鹿半島をまともに回り、帰路・17時55分仙台発の飛行機に間に合うよう組み立てると、網地島の船便との兼ね合いがうまくいかない。

①網地島エリア作品の鑑賞を諦める か、②朝7:20 鮎川発に乗船して作品鑑賞せず島だけ回る か、という本末転倒な二択になります。

今回の同行者・旅マスター小唄氏との協議の結果、②が採択されました。わあい。そう、私たちは作品が見られなくてもあまり支障がない人種なのであった。乗り鉄から鉄分を抜いたような感じとご想像ください。わかんねえよ。

 

 

◆宿(ホテルサンライズ)→鮎川港

2019.9/22(日)朝7:20・鮎川港発の船に乗るため、朝5時起きで行動開始、6時からホテルの朝食を食べ、15分くらいには女川のホテルサンライズを発った。宿からはぐねぐね道を経て40分弱で鮎川港に到着。

  

ホテルの朝飯は納豆が付いていて、いつも家で食べているのと全く違い、においがけっこう強かった。口内炎にへばりつく。泣きながら体に良さそうだと言い聞かせて完食。ホテルサンライズの周辺には何もない。海がすぐそばにあり、ただただ震災復興のための工事だけが行われている。他には何もない、ホテルは虚無に立っている。小高い丘にあるにも関わらず、津波では1階部分が完全に呑み込まれた模様。敷地には今も大きな機器が一つ転がっていて、オブジェと化している。

車は再生途上の町を延々とゆく。沿岸全てがこの調子で、がれきは取り除かれ、悲劇の痕跡は拭い去られ、町としての基盤は出来ているように見えるが、魂の入っていないアンドロイドのような姿で、再生された体、土地とインフラの基礎だけがある。それは地方でも中心でもなく、都市と呼ぶには体が無さすぎ、村や町と呼ぶには人の気配がなさすぎ、当てはめられる言葉がなかった。

 

曲がりくねった牡鹿半島の道を抜けて6:50過ぎに鮎川港。920円で往復券。網地島の南側(長渡港)、北側(網地港)どちらも料金は同じ。当初は長渡港から島内を歩いて北上、縦断するつもりでいた。後に頓挫します。

船着き場には波のアーチがあって、上には鮎川名物・クジラが載っており、津波浸水の当時の写真が掲載されている。てっきり震災以降に配置されたものと思ったが、写真をよく見るとアーチが津波に浸かっていることが分かる。滅茶苦茶である。やはり悲劇、トラウマとは言え、何らかの記録が遺されていることは、重要だと分かった。門外漢には、分かる何かがなければ、震災そのものがなかったことになってしまい得る。ちなみに、駐車場の向こうに見える巨大な船も、津波の前から置かれていたものだ。漂着物ではない。

 

 

◆網地島

さて島内はこのように作品が配置されている。 

(以下の作品No.はこの地図に対応)

 

島は台湾のように斜めに南北に伸びていて、左の網地港が北側、右の長渡港(ふたわたしこう)が南側にあたる。島の中央はどうやら道路が伸びているだけで、学校があったりするようだが謎が多い。ここが南西諸島ならヒッピーなどが勝手に住み着いて楽園になりそうだが、東北の冬は好まれないだろう。この日も天候が崩れ気味で、潮風がやたら寒かった。さむい。 

 

7:30に長渡港に着く。わずか10分ほどの船旅でした。客は少なく、釣り客が数名。この後の10時半の便では、鮎川港に着いた際に、島へ行こうとするリボーンアート目当て客が行列を成していてびっくりしたが、7時台の静けさは隔世の感がある。静かだ。小雨の降りつける港は、船が立つ頃にはもう誰もいなくなってしまった。

雨がどうも・・・ いやだな・・・。 

船着き場の傍に、簡単な雨よけをしたリボーンアートのインフォメーションセンターがある。しばらく雨宿り。スタッフの代わりにねこが我々を対応してくれた。ニャー。

最初はひげの立派なやつが逃げ回っていたが、3匹ほど別のねこが出てきて、実に人慣れしていて、しばしニャーニャー時間を過ごした。ニャー。茶色いふっくらしたのと、黒っぽいこげ茶縞のと、まだ子供の灰色の縞のねこ、3匹だ。人間を同族とでも思っているのか、やたらと懐く。外は雨なので足も鈍る。あーどうしようかねー。観るところあるんかいな。雨です。傘をトランクに置き忘れる凡ミス。雨です。傘は大阪からわざわざ持ってきたものでした。意外と雨が降らなくて、出番がなくて…ブツブツ

 

ニャー。 

なんかちょっとすぐそこに鳥居が見える。寄ってみましょう。歩き出すと灰色の子供のねこが、とてとて付いてくる。良いんですか。ニャー。良いらしい。とてとて。結局、神社の境内まで入ってきた。とてとて。

外周のフェンスもぼろぼろで倒れかけていたが、雷神社という名で、由来などは分からないが、武骨ながら妙に力強い雰囲気に惹かれてしまった。サンダーの神様、どうかわたしを滅茶苦茶にアゲてください、等と祈ろうとしたら鈴の先の縄が途中から無くなっていて、亡霊みたいである。鈴もなかったと思う。不吉だ。やりきれない想いを抱えてぶらぶら垂れ下がった縄だけふわふわと振った。これは期待できない。むしろ運を吸われていないだろうか。

 

雨です。やることがなさすぎて、とりあえず作品のあるところを見て回ることにした。島の町並みは、少し勾配のある路地に民家の塀や壁が密集していて、瀬戸内の男木島(おぎじま)を穏やかにした雰囲気だ。本土と違って、津波で全てが失われたという感じはなかった。ただ、時折現れる空き地は、ただの家屋の老朽化によるものか、それとも地震津波のためにそうなったのか、どうだろうか。

しかしこの空き地はおかしい、何かある。

おや。

 

◆【G18】ロイス・ワインバーガー《ガーデン》

( ´ - ` ) 作品でしたか。

 

ここまで来ると、落ちてるものが生活用品なのか、打ち捨てられたものか、作品なのか、はなはだ怪しくなってくる。楽しい状態です。物理レベルでは似たようなものです。作家の意図や参加者の意識、作成の「過程」が存在することを除いては、あまり大差はない。

この作品は扉が横倒しになって壁となり、その内に雑草が生えている。

 

雨が降りやまず、これはまずい。服がそのうちしとしとになるぞ。いきしょうちん。つらい思いをし始めたので小休止。おや、お洒落な小物が。ガラス越しに見てみると、作品の展示、兼、販売のようだ。

 

◆【G17】伊藤存青木陵子《海に浮かぶ畑がつくり始めると、船の上の店は伝言しだす》

まだ展示室内には入れない。作家らは島の空き家で見つけたものに手を加え、商品として売っているという。島ー作家ー外界(来訪客)を結びつける場自体が作品と言えるだろう。

 

店先の傘立てに、時代劇と土産物でしか見たことのない古めかしい傘が2本、ご自由にお使いくださいと刺さっている。ごつい。雨だがしかし、こんな重いものはよう持たん、持たれへんでしかし。だが、雨がしつこいので、お借りすることにした。ざあああ。ざあああ。

 

( ´  ー` )

あっ重いけどこの傘いい。いいねこの傘。濡れないわ。 

 

ウォーホルも裸足で逃げ出すセンスが地方、離島にはあってですね、そういう実家のオカン的な、打算なき大人の粗野こそが、アールブリュットなんではないかと、思いながら、歩を進めますね。

 

◆【G16】ロイス・ワインバーガー《小道――場所の破壊的な征服》

トライバル様のタトゥー入ってますなあ。これキクイムシが樹を齧った痕をモチーフにしています。よく木の棒とかを拾ったらうねうねの筋が入っていたりする、あれ。色の取り合わせが変わるだけでかなりいかつい。深海のサンゴみたいになる。都会のタギングとどっちが味があるかな。

このトタン壁の小屋あたりは廃屋っぽい雰囲気だった。このような小屋まるごと使った表現が可能ということは、高齢化や空き家が深刻な問題であることの裏返しであって、せつないですね。

 

この間も灰色の子猫がずっと付いてくる。ニャー。大丈夫なんですか。港から離れてまっせ。ニャー。

 

せっかくなので(何が?)、岬の先の「ドワメキ灯台」に向かいましょうという話になる。ドワアア。

 

ニャー。ちょいちょい神の存在を感じますね。ましたね。宗教の時間でした。ニャー。

子猫はずっと付いてくる。こんなにねこに愛されたのは初めてです。小柄なのに体力がすごい。異邦人の動きが気になるのか、寂しがり屋なのか。まさか島内の追尾型監視装置なのか・・・。

  

※子猫の追尾が続いていますニャー。

 

◆【G12】アラン《限られたフィールドとリソースから見えてくるもの》

※作品です

産業革命以降の発展の速度は加速し続けているように感じます。しかし同時に停滞を感じている人も多いと思います。これはどこに再現性(ルール)を見出せばいいのかがわかりにくくなったからだと私は考えています』 はあ、

そこいらにあるものでボードゲームを作り、この世界の法則を描くという作品。この島のものが駒として置かれ・・・ 既に配列は崩され、祭壇ぽくなっていますね。会期中にみんな相当いじったな。理路整然とした法則性より、集合、塊への欲望。日本人の感性? 観客参加型の作品で、自由に置いて良いとのことでした。置いたら余計おかしくなったのでそそくさと退散。あひい。

 

ここで民家が終わり、灯台へは林の中を抜けていくことになる。神隠しにあいませんかね。さすがの子猫も、砂利の地面が嫌なのか、つきあいきれなくなったのか、ここでお別れです。ニャー。

このもうもうとした藪の右手に、作品を示す黄色の看板が登場した。えっ何。どこ。観ると、藪の中を上がっていく小径があった。草木のトンネルを登り、奥へ分け入ってゆく。すると小さな畑があった。落ち武者が世を忍んで自給自足していたような、あるいは小学校時代に作った秘密基地の改良版。

 

◆【G13】伊藤存青木陵子《海に浮かぶ畑が作り始めると、船の上の店は伝言しだす》

これは【G17】で雑貨的な作品を販売していたのと同じ二人組。作品タイトルも同じ。

秘密基地と称したが、単にノスタルジーなのではなく、オープンな異文化というか、フレンドリーな部族の集落の趣。こんちは。営みですなあ。あたしの共和国! てな感じで。素敵だ。作品は配置された刺繍や粘土絵、立体物などだが、こうしてみるとこの秘密の畑自体が作品です。島の元・漁師が使っている場所なのだとか。

奥にはさらに茂みの向こうへと続く小道があり、ざわざわと分け入ると、低く何かがふつかり砕けるような音がする。ややっ。魔獣か。

 

波と風が荒ぶる音でした。集落のすぐ裏は断崖と海だったのか。見晴台は船の突端のようにして組まれ、山の中の畑と海とが結ばれる。

 

地図がすごい。「何もない」秘密の広場でここまで書くことがあることがすごい。自然との対話が弾むタイプの方です。言うても、これはまさに小学生の頃、こういう秘密基地マップ作って書き込んで遊んでいた気がする。ああー。思い出される。こんなに賢くなかったけど。 

 

また元の道に戻ってしばし歩くと、「どわめき灯台」が現れました。こんちは。

 

8:30頃。途中の看板に「ドワメキ岬」とあり、なにそれ、誤字かなと思ったが、調べてみると「濤波岐埼(どわめき)灯台で正解らしい。どわめき。トキメキとザワメキの間ぐらいの感情かなと推察。灯台にはドワメキ博士が住んでいて、来る人間来る人間の体を改造してしまうのですじゃ… 私たちは片腕を傘に改造されなくてよかったです。

旅の始まりか、はたまた終わりか。島の端に来たのと同時に雨が上がった。傘が重い。ジャンプ傘と違って、畳んでも固定できないので手で開かないよう掴み続けていないといけない。重い。

 

 

◆【G14】梅田哲也《針の目》

岬から海を見下ろす、こんもりとした丸い小山があった。明らかに人口の山は、上に立つと見晴らしがよかった。

丸い膨らみは良いのだが、じゃあこのパイプ類は何だ、中から排水しているのか? 何か地下に下水関係の施設でもあるのか? と思ったら、どうもこの、こんもり小山の中に観客が入って、音響や光などを暗闇の中で感じるものなのだと分かってきた。「本来はこれの中に入るようです」「入れなくはないですね」「入っては、いけません」「はい」 はいの多い会話だ。

 

いよっ奥田屋。 

いい旅になっており、すさんだ魂もかなりつやつやになってきてはいるが、なんだか時間を使いすぎた自覚が芽生えてきた。次の船便までに島を縦断せなばならんのだが、間に合うのかな。わからん。雨も止んだし、かさを返しに戻りましょう。

道を戻っても、灰色の子猫はさすがにもう姿がなかった。

 

8:50頃、中心街に戻ってくる。 

味わいがある町です。伝統とロマン。しかし一回歩けばほぼ踏破できてしまい、あまりうろうろすると本当に何度も同じ民家のそばを行き来してしまって、不審ですいません状態です。飲食店は、カレーを提供しそうな店と、ばあちゃんがやってそうな駄菓子・雑貨店を発見。まだ開店していない。

 

作品G19~20のある家屋のあたりをうろうろしていたら、スタッフらしきお姉さんがやたら陽気に歌を口ずさみながら出てきた。かたつむりの歌? 浦島太郎? うわっ陽気ですね。加えて男の声も歌い始めた。なんだなんだ。陽気ですね?? そういうパフォーマンス作品の演者で、ウォーミングアップ中だったのか? お邪魔しました。お姉さんにまだ入れませんからと釘を刺されつつ、ああ私はこんな風に素敵な陽気な生き方ができない、などと頭を抱えた。完。

 

違った。その後ろにある作品の音声だった。ははは。

 

◆G21:小宮麻吏奈《蓬莱島古墳》

竜宮城で饗応を受けてhappyな浦島太郎と、死後、古墳に封じられるまでの間に「もがり」を行われる死者とを重ね合わせた作品。浦島の行った理想郷と古墳とは同じく、現在と未来の間にある場という、

話が飛びますが、なんで浦島さんはあんな目に遭ったんでしょうね。わけの解らない話ですね。亀を助けたらお礼に竜宮城で、海の中は時間の流れがアレで、陸に戻ったら取り残されて… ぜったい元の話から大幅アレンジしたと思う。元々はまさに、もっと直截な不老不死とか、逆に死の世界に関する物語だった? のかも。

 

未来の古墳ですね。このモニターの人物が歌を歌っています。興味深いのが、歌い手の人物の映像は恐らく作者ですが、途中で奇妙に膨らんで男の声になります。性を横断するようです。 

 

 

ここで9時過ぎを回っており、島の北部の港で船に乗るには、50分ぐらいで高速縦断しないと間に合わない事態になりました。Google Map先生に聞くと、1時間何分か、かかるようです。道中に作品あったら無理やん。縦断をあきらめ、この長渡港界隈でうろうろし続けることにしました。

 

あまりうろうろすると、本当に島民の方々の生活をあれするので、足のやり場に困りました。結局、無人でふらふら出来る場所となると、港になり、船が来るまで小一時間ほど、ねこと戯れたり、漁労関係の残置物を愛でたりしました。 きみ、いいオブジェだね。モデルしない? ね? ね? 淡々と愛でました。

 

普段の海では、ブルーの水平線を阻害する醜いコンクリ、などと罵るところですが、三陸ではこれが命の壁。重機が配されているのを見ると、まだまだ復旧、強化の最中なのでしょうか。津波は終わったけれど被災という状態は終わっていない、と感じました。 

 

この黒猫も、さきの灰色子猫と同じで、すごく人懐っこく、私が行く方へ必ず付いてきては足元をぐるぐる回っていました。コミュニケーション能力が私より格段に高くてうらやましかったです。ニャー。

 

10:15ぐらいに船が来て、どやどやっとリボーンアートのパスポートやカメラを首から下げた観光客が下りてきました。まあみんなそうするよね。私たちの分までおたのしみください。

 

( ´ - ` ) 完(つづく

 

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