【大阪国際メディア図書館/写真表現大学】H30.6/23(土)震災復旧作業 ~よみがえる教室~
この土曜は大阪国際メディア図書館(写真表現大学の母体)の復旧作業に参加していました。図書館は茨木市駅から徒歩10分ほどの場所にあり、6/18(月)の大阪北部地震によって震度6の被害を受けた地域です。
以下、復旧作業ならびに茨木市駅周辺の状況についてレポートです。
学校の時計は、地震発生の7:58を差したままでした。
この土曜の作業では3階(教室、スタジオ)の復旧作業が進み、スクールとしての稼働が見込めるところまでたどり着きました。集合知ならぬ集合働の効果を目の当たりにしました。
(1)6/18想起
6/18(月)の大阪北部地震から、大阪の民は早くも「日常」へ回帰しました。たまに余震はありますが稀です。
はれのひ親分の逮捕であるとか、玉木宏の結婚であるとか、土地をめぐる1千万収賄で逮捕される静岡県伊東市の元市長、18歳による小学生時代への復讐と称した小学生襲撃、大迫半端ねえ等、世事の情報の更新が、生活リズムの復元とともに、「日常」回帰への拍車をかけます。それもひとえに、被害の程度が幸運にも比較的穏やかで、「被災」後の状況が「日常」そのものへとスイッチするまでには至らなかった、ということかと思います。ガスやモノレールも復旧です。
阪急に乗ったあたりから6/18のことを思い出します。淀川です。川、水辺は記憶の奥底を直接刺激する何かがあって、それは地理的な断絶そのものであるとか橋という象徴的な建造物であるとか揺らぎや流れのイメージにつながるからとかシンプルに水害への恐れがあるからとか、様々ですがとにかく思い出しが始まり、震災へやや再帰します。
当日は職場で情報を得ていましたが、表大の周辺がヤバいということしか分かりませんでした。
そしてFBの表大・Eスクールのグループでは、畑館長による被災状況と復旧についての報告が毎日届けられるようになりました。
震災当日の報告です。
図書館なので、本が棚から飛び出すのは致し方ないとして、それでも思ったよりもずっと被害が少ないという印象でした。蔵書に対するインフラ投資が功を奏したことが分かります。必要な投資をすれば貴重な蔵書は守っていけるし、投資・対策がなければ人命すらたやすく失われるということが今回の被災の学びです。
(2)阪急茨木市駅~商店街~図書館周辺
南茨木駅あたりから、屋根にブルーシートを載せた家屋の出現頻度がぐっと増します。茨木市駅に着きました。言われなければ、駅構内で剥落した電光掲示板がTwitterを賑わせていたことなども、特に分かりません。
( ´ - ` ) 大丈夫ですね。
いつも通る「阪急本通商店街」、こちらも全く違和感がなく、日常です。
通学3年目にもなるとそれなりに愛着もあり、パン屋などの安否も気になっていましたが、無事です。むしろ、ふとん屋さんでドラマ「ブラックペアン」作中に使用された寝具を取り扱っていますという宣伝が掲げられていたりして、民の逞しさを感じます。
商店街にある程度体力があると、天井や柱、壁が持ちこたえてくれるのだなということが身に染みます。安くて丈夫で体に害のない建材や塗料が開発されますように。ないかな。
ここから住宅街に入ると、景色が変わり、色々と手当てに追われていることが分かります。
土曜の10時前ですが、工務店やガス関連の作業車とおぼしき車が停まっていたりして、この土日を足掛かりとして手入れが進んでいく感があります。他人事ではなく、私も工務店と屋根の補修の話をしないといけません。洒落でα7RIIIを買おうと目論んでいましたが、おじゃんです。憂鬱だ。
妙徳寺さんの山門の崩壊がショックでした。図書館と道路をへだてた「吉田商店」さんがミイラのように白いシートで覆われているのも悲しみです。古い丸型ポストのほうがしゃんと立っているのが何ともいえません。
図書館に入りますこんにちは。
(3)大阪国際メディア図書館 復旧作業
9:48
\(^o^)/ 水槽が無事。
これはひっくり返って全滅してるだろうなと諦めていましたが、生きていて良かったです。(※筆者は魚が好きです)
9:52
朝礼です。おはようございます。
目標は、この土日で「教室」としての再生を行い、来週からの平常稼働に備えることです。コンセプトは、未来志向で、今回の被災を踏まえた収納、収蔵を考えていくということです。
ここは写真・映像系のスクールですが、あくまで根幹は図書館なので、希少本などの蔵書の保全と管理が宿命となっています。
火~金の4日間で、1階部分(事務室、図書館)についてはかなりの復旧がなされたようです。
3階(レクチャールーム、撮影スタジオ、映像系スタジオ、書庫)が今回の作業の肝です。不用品を選別して廃棄したり、使いやすさと余震に耐えうる安全性などを考慮した再デザインを施します。
写真撮影スタジオ、映像系スタジオ、書庫の3班に分かれて、それぞれの指揮者に従って片づけ、整理をし、床を全面清掃して〆です。
( ´ - ` )ノ やっていきましょう。
10:11 3Fです。
機材一式がフロア中心に固められています。
平時はこの広いフロアを講義や合評会の場として使っており、これらの機材はフロア壁際の収納棚や作業ルーム等に潜んでいたものです。その復旧をやっていきます。なかなか多いなー。たいへんや。
奥の書庫・ゼミ室は、被災当日の状況を色濃く残していました。
この光景を見ると、実に復旧作業が進んでいることを痛感しました。平日の間に作業に従事された皆様、お疲れ様でした。
10:15
明らかに要らないものを選別して廃棄対象にし、不要な棚のパーツを屋上階へ運び出します。運びました。人数がいると速い。
力仕事は実質的にこの最初の運搬ぐらいで、あとは細かい作業と「これ捨てますか」「いやまだこれは(使える)」「撮影に使うと面白い」「何かに使えるかもしれん」等の議論が主です。「昭和の人間はな、もの捨てられへんねん」はい。
私は撮影スタジオのチームで、プロカメラマン講座が使う撮影スタジオ用の収納スペースを再構築します。場所だけ決めたら後は物を置いていくだけです。
10:20~12:00
( ´ - ` ) 拭き掃除。
なぜなら普段拭いていないからだ! わはは。
これが手強かった。電源コードがどろどろや。どろい。
先生「ほんまのスタジオは、毎回使ったあとに必ず手入れするねんけどなあ…」スクールゆえの難しさがあります。「機材の掃除も授業の一環にしたらええねんな…」いいと思います。
人が踏むような電源コード類の拭き掃除について、ライフハック記事が見当たらなかったので、濡れ雑巾でこしこし拭き続けていました。それが最適解なのかな??? Webは便利だけど不便ですね。拭き方のライフハック記事が全然ない。需要の不確かな分野については記事が全然ないのです。誰かご存知でしたらURLをご提供ください。
10:37
スタジオ収納の構築のようす。2段に積み上げた水色の棚は、どう頑張っても危ないのでこの後撤去しました。
10:44
お宝の発見があって、昔話で盛り上がったりします。先生「これでだいぶ稼いだんや」。これはフジの6×8中判カメラ(確かGX680シリーズ)で、印刷用の広告物を作ったり、スタジオ撮りした婚礼写真などを台紙に入れてセットする際、6×7や6×9と違ってタテヨコのトリミングがあまり要らず、非常に便利だったとか。
11:43
工具箱のロマンが始まりました。これは男子のファンタジーです。終わりがありません。大石先生は広告系カメラマンだったはずですが、オーディオを自作したり、自転車をたくさんいじってきたという謎のキャリアがあります。
12:01
収納の限界があり、当面使う予定のない暗室さんと暗室グッズさんに泣いてもらうことになりました。引き伸ばし器や乾燥機などが、狭い暗室に限界まで詰め込まれていきます。フィルム時代の機材は立派ですが、大きすぎます。時代に対応するということで、苦渋の決断でした。
サウンドの方は全然分からないので雰囲気です。よくわからないです。実家に昔、カシオの安いキーボードが導入されたことを思い出しました。私は音符を解さない上に、人の指先を移植したみたいに動きがよくないので、演奏と無縁の人生でした。今後もそうです。
12:02
昼休みです。コードを濡れ雑巾で磨いていたら昼です。作業開始から徐々に荷物が減ってきたのと、それぞれの収納についてプランが立ってきました。昼から一気に進捗が出ます。
窓から茨木の街を見やると、屋根の修繕待ちでブルーシートが目立ちます。この日はえらく雨が降ってきて、シートが間に合ってよかったと思います。
見ていると、疲労感のつよい家屋は屋根のダメージが大きく、若くて健康そうな雰囲気の家屋では、屋根が平然としています。シンプルに、メンテナンスが命ということが分かります。
これは自分自身に言い聞かせているわけで、築30年近くになる物件を中古で買うと、「足場を組んで屋根と外壁を補修する」というミッションがどこかの時点で不可避であり、とうとう地震も来たしこのタイミングで手を入れないと無理だ、というあれです。預金残高が阿鼻叫喚です。しかし育毛剤をけちるわけにはいかないので、α7RIIIを諦めたり晩酌のグレードを下げたりするしかない。
12:59
午後の部が再開です。かなりいい感じで進捗が出ていることと、あくまで未来志向で教室を再建していくのだという趣旨が畑館長よりアナウンスされます。人間は不思議な生き物で、今やってることが前向きな作業だと思うと、やる気が出ます。
14:03
プロカメラマンクラス3年目の同胞が来てくれたので、スタジオ撮影用の小物類の整理が捗り、えらく綺麗になりました。完成やん。
小物というのは、石やら食器、ビー玉、洗剤容器、なんやかんやで、錯乱状態時のドラえもんの四次元ポケットをご想像ください。
買い置きの乾電池も発掘されましたが、液漏れが結晶化していてご臨終です。定期的に大掃除した方が良さそうです。
14時頃にはEスクール側もかなり片付いていて、スクリーンへの映像投影や音響をどうするかの算段がなされていました。
14:23 いやー作業進む進む。
14:30
畑先生の大学の教え子で、現在「銀のさら」にお勤めの方から、寿司の差し入れです。ワーーーーイ寿司。
( ´ - ` )ノ ありがとうございます寿司。
寿司です。生徒の誕生日会みたいになっています。納豆巻きを喜びます。ありがとうございました。
受講生の方からもケーニヒスクローネの差し入れがあったりして、やっぱり美味いですね、脳が喜びます。プリングルズのたこ焼き味がそれを打ち消したりして脳が大変です。先生方の昔話が白熱しそうになったあたりで作業再開です。
再開後は掃除機をかけてモップで終了です。篤志家、資産家の方がおられましたら吸引力の高い掃除機をご寄付願います。ものうげな乙女の呟きのような吸引力なのでたいへんです。スーハー。
13:56
ほぼほぼ教室としての環境が整い、映像と音響の調整です。
掃除機の中身を綺麗にしましたが、吸引力は、物憂げな乙女の呟き程度のままでした。スーハー。
15:41 写真系の作業はもう終了です。昼からの進捗がすごい。完全に終わってしまいました。
Amazonを原材料としたカメラオブスクラ。水野先生の手作りだそうです。このたび老朽化によりお役御免で処分です。
頭骨に穴をあける類の通過儀礼ぽかったのですが、私の撮影技量が乏しくてそのように撮れませんでした。200万ぐらいするプロジェクター付きの大スクリーンボードです。復活したか否かはこうご期待。
書庫の整理で面白い本が出てきました。高橋忠之氏という、志摩観光ホテルの名シェフの仕事が収められた料理の写真集です。
高橋氏はこの写真集の発刊から約10年後の1994年、志摩観光ホテルの総料理長兼総支配人に就任されています。フランス料理をやっているのに「私の皿にフランスがあってはならない、私の料理でなくてはならない」という問題意識を持った、鬼のような人です。
料理写真として優れているので、参考図書として使うことが決まりました。見ていると、写真の柔らかな風合いが、クリームの豊かな風味を想起させ、めっちゃ美味そうです。それでいてピントは皿の奥から手前までしっかり来ていて、優しさと強度に満ちています。35㎜のデジカメにはこんな仕事は不可能ですて。
16:38
コードを拭いたり寿司を食べたり、料理写真のレクを受けていたら、本日の復旧作業は完了しました。わあい。
館長より、本日の作業完了のアナウンスで〆です。図書館が被災した時に復旧するのは非常に困難だが、今回は皆の力を集め、その難局を乗り越えることができました、感謝申し上げます、というお話でした。ひとえに図書館の棚が頑丈だったのが明暗をわけたと思いました。
17:14
作業終わりの会。なんか復旧作業する前より体重増えたかもしれない。
日曜作業班の皆さん、あとがんばってください◎
完。