【展示】「さいとう・たかを ゴルゴ13」展 @大阪文化館・天保山
実家もしくは親戚、友人の家にありませんでしたか
南港にて連載50周年記念の特別展示です。さわやかな空、海、ゴルゴ。
地下鉄中央線にも。
特別好きかと言われるとそこまででもないのだが、しかし放っておけないですなあ。なんでしょう、やはり無数に存在するマンガの中で相当特異な存在感を誇っている。小学生低学年の頃に初めて見たときはNATOがどうのと言われてもわかりませんでした。その圧倒的な突き放し感、おとなの世界が魅力だったのかも。
「ゴルゴの背後に立つとものすごい攻撃される」「背後に立たれるのをやたら警戒する」という印象が根深く刺さっているのは、本作よりむしろ「こち亀」に登場する「ボルボ西郷」の強烈なデフォルメが影響していると思う。観覧車がかっこいいですね。
展示はゴルゴの扉絵などの原画と面白ポイント解説、「海へ向かうエバ」原画、作品に登場する銃器の実物大レプリカ、さいとうたかをプロの仕事場やスタッフ自作のアーマライト16、コラボ展開の広報物など。
間口を広く浅くとっており、展示も具体的なので、ゴルゴのことをちょっとしか知らなくても十分楽しめる。
各話の深いところに精通している人や、突っ込んで掘り下げたいマニアック層にとっては軽いおさらい。
私のゴルゴ体験は偏っていて、祖父母の家にあった特定の巻だけを何度も読み返していたので、ほとんど未知の世界です。
「バイオニックソルジャー・ライリー」知らなかった。。。人工的に生み育てられた兵士。
チケット売り場の撮影スペースにて。
初期ゴルゴは眼や口元が人間臭く、表情がかなり豊かです。別人だ。
殺しの依頼だけではなく、貴重品(1050カラットのダイヤモンド)を破壊したり、人工衛星の軌道を狂わせるといった仕事も引き受けます。あと素性を探ったり記録を残そうとした場合は依頼人であっても殺される。
<まめ知識>
〇イギリス王室で使われてる高級せっけんを使ってる(香りが残らない)
〇葉巻も高級。においを嗅いだだけで高級とわかるぐらい高級な葉巻。
〇宿泊した部屋に髪の毛一本落とさない。衣類などもその都度、焼却処分しているのではないかと思われる。
〇世界の各地に連絡員がおり、電話番の女性や、絵葉書を受け取る民間人などがいる。
〇個人資産が最低でも2兆円ある。(戦略上、自然環境保護のために200億ドル寄付した)
〇戦略上必要があるときは、人と握手する。
〇手が震えて銃やペンが持てなくなるという持病がある。銃撃戦の最中に銃を落としていた。心因性のものらしいし、ギラン・バレー症候群ともいわれている。
葉書より。原画は超かっこいい。
写真を元に描き起こされている。リアリズムの漫画という新境地を拓いたことが分かる。
ハガキより。標的と瓜二つの身代わりとを見分ける回。標的(大統領だったかな?)はアル中なので普段は片手が震えてるが、酒を飲むと震えが止まるため、そちらの手で握手ができるようになり、その点を見抜いて狙撃した。
ゴルゴがあまりにも強すぎて、「強敵」や「ライバル」が存在しないことに気付いた。職業柄、単発の闇仕事を請け負っている都合もあって、継続的に登場するキャラがいないのだろう。また、暗殺という仕事は出来るだけ素性を隠して一方的に殺す仕事であって、どっかのサイヤ人みたいに堂々と人前で殴り合いなどしないし。
同時代で銃使い、チート級に高性能の主人公と言えばルパンが思い当たるが、あちらもストーリー全体を通じて明確なライバルが存在しない。(一応、パイカルが最強のライバルということになるのかな)
背後に人に立たれるのは本当に嫌というか本能的に反射で攻撃するらしい。弓道を教わりに道場に通った際には、師範が銃射撃のクセを指摘し指導しようとするも、本能的に排除しようとするので、師範が真っ裸になってようやく指導できた。
さいとたかをプロの事務所応接室を再現。
<まめ知識>
〇アシスタント制ではない(分業スタイルであり、一人一人がその分野のプロとして最大限個性や能力を発揮できるシステム)
高品質なマンガを制作するには、絵もストーリーも全てが高クオリティでなければならないとの気付きから生まれたという。
〇50年以上の原稿生活を送った結果、指紋の一部が消失しているらしい
〇原稿のホワイト(修正液)を速乾させるのにタバコの火を用いる
〇インターネットが無かった時代は資料集めに友人を力を借り、世界各地の写真を集めていた。特に医師は、一般人では入国の困難な旧共産圏にも学会出張の名目で入国できたため重宝したらしい。
主にその土地の生活が分かる公衆電話などの撮影を依頼していた。
〇スタッフが総力を挙げて銃のレプリカを作成している。(何をどう調査してどう作っているのかは分からないがとにかくすごい精度で作っている) そして事務所に武器庫がある。
ゴルゴ愛用の銃:アーマライト16(変型銃)の模型を持つことができましたが、えらく重かったですよ。よくこんなもん振り回せますね。単にスナイパーとしてではなく、「俺は一人の軍隊だ」との覚悟から、本来狙撃に向かないが、乱戦でも一斉掃射が可能なアーマライトをあえて
※第1話で誤って狙撃に向かないアーマライトを持たせてしまったという説があります
( ´ - ` ) 、
( ´ - ` ) 。
ゴルゴの白ブリーフをめぐってはファンの間でも必ず話題になる。
東野「普段白いブリーフやけど、たまに黒いブリーフのときあるねんな」
ケンコバ「たまーにあります」
蛍原「なんか意味あるんですか」
東野「ん、しっくりくるんちゃうん」
(皆)「なんやねんなそれ」
東野「そらあれや、旅先で数がなくなったり・・・さあ」
ケンコバ「コンビニでそれしかなかったとかあるんでしょう」
( ´ - ` )
ちなみにグッズで一押しなのが、この特別単行本。
「ゴルゴ13 for Ladies」
ゴル女が選んだとか、なんかちゃらい売り文句になっているが、売り企画と中身が全く別物で、中身は本展示で特に力を入れて引用されていた回を厳選して掲載している! 展示ガイドブックを買うよりも、こちらを買ったほうが本展示とゴルゴ原作の関連が深く理解できる。
(ガイドブックはなんか情報がごちゃごちゃしてるし、久米宏が前に出すぎてて要らなかった。)
収録エピソードは本展示の目玉「海へ向かうエバ」のほか、「配役<キャスティング>」「クリスマス・24アワーズ」「死闘ダイヤ・カット・ダイヤ」「一射一生」の5本立て。夢中で貪るようにして読んだ。様々な分野における地球上のトップクラスの人間たち、あるいは燻ってる連中がそれぞれに生死を賭す瞬間を間近で観ることができる。
荒唐無稽なはずなのに、いつの間にかのめり込んでしまう。
ハガキより。ダイヤモンドを通常のライフル弾で打ち抜く回。てっきり弾頭をダイヤで加工するのかと思ったら、弾はいじらずにダイヤをカットする技術を学ぶ(しかも1回見ただけ)という神業ストーリー。デ・ロアズ社のオーナーが愛でる世界最大1,050カラットのダイヤモンドが砕け散る。
本展示のメインビジュアルとなった扉絵。非常にかっこいい。
銃のディテールが素晴らしい。
「海へ向かうエバ」。この話はめちゃくちゃいい。女性の絡む話はさいとう氏が得意とするところらしい。上質な仏映画のようなストーリー。いやこれは映画ですよ。漫画の形をした映画。
面白かったです。空いてました。
海遊館はお子様でいっぱい。
( ´ - ` )ノ