H28.11月某日 【ART】大阪国際メディア図書館_写真表現大学での1日
(― H28.11/30(水)23時をもって、クラウドファンディング企画は終了しました。 ―)
ここで大阪国際メディア図書館_写真表現大学とは何なのか、
その1日をレビューしようと思います。
私が最近急に「大阪国際メディア図書館のクラウドファンディングがどうのこうの」「うんぬん」「かんぬん」とSNS上に投稿し始めたりして、皆さま「とうとう頭打ったか」「クラウドって言いたかっただけでは」「山で遭難したんだな ※」とお訝りでござろう。
特段そういうわけではないんですが、2016年度は色々ありまして、別にないけど、あってですね、学校に通うことにしたのである。その、あれだ。人生あるよね。自分にごまかしがきかなくなる時期。そういうあれ。あるんだよ(怒)。それで学校。泣く。
(※2015年まではライフワークが登山だった)
そういうわけで、クラウドファンディングの話も含めて、学校生活についてちょっとあれしたいと思います。
(※H28.11/28時点でクラウドファンディング企画は目標金額を達成しました。ご協力いただいた方々、ありがとうございました。)
まずあれですよね。
- 大阪国際メディア図書館
頬に傷がある人の絵ではありません。
「大阪国際メディア図書館」という、非営利の一般社団法人による民営の図書館が、学校の母体となっています。写真を初めとする各種アート、映像、メディア論など多岐にわたる写真集、評論、図録、ビデオ・DVD等映像を擁し、その専門性と蔵書量(約33,000点)は国内で類を見ません。
この図書館が運営しているスクールが「写真表現大学」という名称です。名前のとおり、写真のことに関する学校です。写真のことって何だよ。全部やります。そう全部だ。その点が一般的な専門学校などと大きく異なります。極めて熱くてヤバい場となっています。
もう一つ「Eスクール」という、動画や映像に特化した教室も併設されています。こちらはこちらでなかなかユニークかつヤバいのですが、私は受講していないので、誰かが内部レポートをアップしてくれることを期待しますw
では実際に登校してみましょう。
○2016.11月某日
阪急・茨木市駅でおりますよね。
おりたよ。茨木市駅は白ベースで小綺麗。しかし左右非対称でガタガタしていて気になる(良い)。地上階と二階部分がそれぞれ店舗になっていたり、向かって左手の複合商業施設「ソシオ」へ通路が展開している。右手方面も居酒屋が立ち並んでいたり、かなり賑わいのある街。
駅建物を出て、バスロータリーを横目に進む。「ソシオいばらき商店街」、手前が1号館、奥が2号館で、少々古い物件、中は薄暗く、若干レトロ感がある。しかし店が多く、まだ全容を調査できていない。
腰のくねった朱色のオブジェがいつも目に留まります。踊り子モノリスと勝手に呼んでいる。
で商店街に差し掛かるのでずんずん入っていく。
「阪急本通商店街」。 なかなかの規模です。地元民に愛用されていて、多くの物件が老朽化してきているものの、人通りが多い。パン屋がおいしい。立ち食いうどん・そば「たつみや」のうどんだしの香りが名物と化している。奥の方にも更にレトロな商店街が展開している等々、散策の甲斐があります。
ここを適度に右折するなどすると「本町ROSE街」という、由来の全く分からないレトロな通りに入る。
このROSE街は謎だらけで、情報がネット上に皆無。老朽化した店が多いが、現役だったりして賑わっている。ここを真っ直ぐ行くと学校である。「ROSE」のフォントの奇怪さは何だろう。妙にくねっている。戦後に歓楽街でもあったのだろうか。誰か研究していただきたい。
オブジェかと思ったら野良テレビだったということがよくある。
いいオブジェだなあ。
そういう複雑な心境を抱えて毎週通学する、嗚呼この道。
はい。駅から15分しないうちに到着する、白いビル、
土方商店。
はいここ。
どこからどう見ても土方商店だが、
土方商店だよね。
しかしだ。
ジャーン。
ほれ。あったよ。
大阪国際メディア図書館でした。
そうなんですよ。土方商店さんに間借りしている罠。
まあ、裏面のデジタルサイネージにて喋って動いてる先生を拝顔することの方が多いので、何となくわかります。こんにちはー。
で 入るとだね、
\(^o^)/ 百花繚乱。
\(^o^)/ 宝の山あああ。
※棚2面分しか写ってないので、あと7~8倍かそれ以上はあります。
けっこうバウハウス関係があったりする。東京都写真美術館の各企画の目録などが役立つ。A・スティーグリッツ、リー・フリードランダーや東松照明がしっかりある。みんな大好きグルスキーもある。写真情報誌「IMA」も揃っている。写真評論も手厚く、みんな大好き伊藤俊治が色々ある。手に負えない。在学中にどうにか出来るだろうか。むりだ。奥にはデザイン、タイポグラフィーや、建築、メディア論などが控えていて、一生遊べる施設となっている。あと「LIFE」とか希少本の数々。ぎゃああ。手に負えない。
そういうわけだよ。これを駆使して教育を行っている。
一般的な写真愛好家、カメラ愛好家は、歴史を学ぶことは特にないと思われる。しかし写真というジャンルは、社会学や文学のような本質が濃厚にあって、しかも誰もが学校で写真を学ぶ時代になってしまっているため、戦略的に取り組まないと、アートシーンで必要とされるポイントを押さえられない =一生評価されない、という凄まじい罠があります。プロカメラマンはまた別ですが。
図書館に関しては、それだけでレビューが成立するボリュームなので、ここでとめおきます。
ただし、この世に出回っている写真集や関連書籍の数からするとまだまだで、これだけたくさんあるけど、まだまだで、実際「あれ? あの作家の写真集ないなあ」ということが結構あります。そして今後も時代に応じて、次々にキャッチアップし続けていかないといけない、そういう使命があります。図書館の宿命です。
その投資のための資金は、生徒の授業料だけではまかなうことができない。
そこで、クラウドファンディングという手法を用いることとなったわけです。
重要なポイントは、閲覧だけなら誰でも無料。貸出は年間3千円という超お得なシステムであることです。 生徒でなくても自由に使える。なので、蔵書を増やすことは、色んな人にとって大きなメリットがあります。
- 写真表現大学
つづいて写真表現大学の話をします。
写真表現大学では、「写真史」や写真集研究といった少々学術的なことと、撮影技術、ライティングや、photoshopやIllustratorの基本操作といったテクニカルなことの2本柱を学びます。
そして同時並行で、個々人で発表テーマを決め、テーマに沿った撮影と合評を繰り返していき、最終的に3月の「修了展」(グループ展)で成果を発表することとなります。
蔵書量豊かな図書館が運営している学校なので、写真集が非常に多いことが特徴強みになっています。過去にどのような写真が現れ、メディアの時代を創ってきたのか。歴史と共に写真はどのような役割を果たし、何を伝えてきたのか。そこを重点的に学びます。
「押したら写るねん」「たいがい綺麗に写るねん」「せやから考えなくなるねん」。
講師の先生が度々言わはる言葉です。そう、時代は進化してしまい、従来のカメラマン、写真家の担っていた専門的な仕事は、今やカメラに内蔵された撮像素子や画像処理エンジン、そしてAdobe製品によってほぼオール外注状態です。それを踏まえた上で私達に何ができるか/何をすべきか、ということを学びます。
テーマが重要で、自分の打ち立てたテーマに則した発展が出来ているか、ということを「合評」の授業で模索していきます。
写真の合評のようす。
マスクの配給をします。
これは私が滅茶苦茶に風邪を引いていて、最高の感染源として輝いていた日でした。相当に先鋭的だったと思います。あからさまに危険で、急遽、マスクの配給がありました。マスクの裏と表はどっちかという議論が続きました。結局よくわかりませんでした。
合評は生徒ひとりずつが撮ってきた写真を並べ、それについて皆でディスカッションをします。わからんなりに見せる、わからんなりに発言するというのが重要で、それを繰り返しているうちに自分のやるべきこととか、写真の読み方が分かってきたりします。
やばい写真が持ち込まれました。なんだこれは。一見、どれも綺麗で、全部通用しそうに思えます。実際綺麗です。というかこれいつの間に撮りためてたんだ。戦慄が走ります。ここから、テーマ性を高めるとともに、その人にしかない視点が現れているものを選択していきます。
彼は今までずっと「Eスクール」で動画作成に専念していたため、本格的に写真作品の作成を始めたのはここ1カ月ぐらいのはずですが、この学校の恐ろしいところで、テーマの絞り込みが出来たあとは、一瞬でやばい写真が並びました。正直こわいです。\(^o^)/
またやばい写真が並びました。容赦ないなあ。巨大建造物ですが、巨大なものが巨大なものとして写されています。当たり前のことほど難しくて、思ったように迫力など出ないのが世の常ですが、きっちり基本の仕事が成されています。彼は今年から写真を初めたところです。しかし構図的にはなかなか完成していて、一歩進んで、どのアングルで迫れば、その巨体の重厚感や特異なフォルムの個性が出るかの模索が行われています。
アマチュアの愛好家であればなんか全部OKになりそうな絵でしたが、ここでは彼のテーマに最も合致する1枚だけが選ばれました。その選定フローは科学的で、何がどう写っているかの検証が行われます。しかし普通に写真うまいからこわいです。
\(^o^)/ 世の中こわいことばっかりや。
また別の日の授業も見てみましょう。
階段を上るとロゴが登場。
学校の各種ロゴは、世界的に活躍されているデザイナー・奥村昭夫氏によるものです。シンプルかつコミカルで、かつ、相手の本質をとらえているという、武道の達人のような技が光ります。奥村氏による授業もあります。達人でした。刀を抜くのが見えなかった的な、異次元の場が繰り広げられました。
衰えた筋肉に鞭打って3階まで登ります。この時点で脱落する人は写真をまなぶことができません。階段ぐらいは登れるようにしておきましょう。
個展を催すなどすると、DMを学校に置いてくれますのでがんばりましょう。
レクチャールーム。
この日はプリントの講義がありました。
動物の体温の授業みたいに見えますが。世の中には変温動物と恒温動物とがいます。
自分の撮ったり編集した写真を、ディスプレイ上で見ているのと、実際にカラープリンターから出力したときとで、どこまで差が出るのか、そのギャップについて実習します。
photoshop上からプリントするときの基本操作がレクされます。謎にうまい写真がフィーチャーされています。異国感が漂いますね。これも生徒が撮ってきたもので、NYのように見えたという東京都内の光景だそうです。今やどの国の都市も全て同じ表情をしているというのは重要な指摘です。教室には生徒が十数人いるのに、誰も世界観が似ていなくて、面白いことになっています。
皆が順番にプリントアウトします。私の隣では、新婚夫婦のような樹木が光に満ちているという素敵な写真が光っています。彼が光への関心が強いとは知っていましたが、上質なJ-POPのような爽やかで温かい世界観を撮ろうとしていたとはつゆほどもしりませんでした。もう半年以上になるのに知らないことばかりです。旅のような日々です。
私は学校の近所を撮ったのをテストプリントしました。最近少々、ニュー・トポグラフィックスの写真家らに注目しています。やや客観的に「無」を湛えた物件を撮るのが好きです。ヘンリー・ウェッセル、ヴァウト・ベルハー等にしびれています。
プリントは少々アンダーだなあと思いましたが、時間をおいてインクが乾くとそこそこ明るくなりました。プリントは乾かないと正しい結果がわかりません。そのようなことを学びました。この日は風邪が激化して、とうとう途中で早退しました。発症から1週間が経つのに症状がよけいひどくなるという酷い結末でした。「市販薬は効果がない」ということを学びました。
総じて、こんな感じで生徒は活動しています。
(※一生徒の個人的な体感です)
こうした取り組みの成果は、3月の修了展でお見せするとともに、その後の活動(プロカメラマンとしての活動、作家としての個展活動など)によって、世の中に還元することとなります。
そこで、
- 「一口館長」募集中
目標金額の到達まで、かなり現実味を帯びてきました。
図書館は生徒でなくても、誰でも利用できるので、コンテンツが充実すれば、これからも面白い場所であり続けること、間違いなしです。
大阪国際メディア図書館のクラウドファンディング企画につきまして、皆さまの興味、ご支援をいただけますと幸いです。
ぜひぜひ、よろしくお願いいたします。
(H28.11/30を以って締切となっています)