nekoSLASH

ねこが超です。主に関西の写真・アート展示のレポート・私見を綴ります。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(4)二条城展示_④リシャール・コラス、⑤片桐功敦、⑥ダミアン・ジャレ&JR、⑦小原一真、⑧四代田辺竹雲斎

KYOTOGRAPHIE本体プログラム、二条城編です。 これは、9月18日のKG開始日どころか、9月17日のプレス内覧会でも「公開時期未定」で伏せられており、翌週で段階的に開場、9月23日にフルオープンとなった。 内容は、2011年・東日本大震災の記憶と声を「今」に伝…

【写真展/KG+SQUARE】(後編)<2F>㊿ジュリアン・レヴィ、(S2) IWPAスペシャル展示 、<3F>㊼イルデフォンソ・コラッソ、シラッセ・サロモーネ、㊽フォスター・ミックリー、㊿KG+ PHOTOBOOK FAIR、アジアにおける写真集の動向展

【KG+SQUARE】後編、2F途中から3F「KG+フォトブックフェア」までレポです。 KG+の写真展示をビルに集めただけでなく、4日間限定ながら写真集・ZINEの即売会が催されるなど、独自色のある会場となっていた。楽しかったなー。写真界隈の祭りがもっとこう…

【写真展/KG+SQUARE】(前編)<1F>㊸石山和広、(S1)京都中央信用金庫、<2F>㊹伊藤妹、㊺横山大介、㊻鷹巣由佳

JR京都駅からほどなく「京都中央信用金庫・旧厚生センター」建物をフルに使って、KYOTOGRAPHIEサテライト展示・特別企画「KG+SQUARE」が、今年初めて開催された。 KG+参加作家の展示をダイジェストで紹介するほか、各部屋での「KG+」展示、そして期間限定で…

【写真展/KG+】⑫MUGA、⑬成田貴亨、⑮ふくだぺろ+ゆみ、澤崎賢一、ベサンスン

KYOTOGRAPHIEサテライト展示「KG+」のレポも進めていきましょう。 まず3つのプログラム:⑫MUGA、⑬成田貴亨、⑮ふくだぺろ+ゆみ、澤崎賢一、ベサンスン、を紹介する。(No.はMAPに準拠)

【写真展/KG+】(52) 外山亮介「トンネル」 @三条両替町ビル

今年度の【KG+】のなかで、いや、KYOTOGRAPHIE本体を含めた中でも異彩を放ち、重みがあったのがこの展示だ。 他の会場では断られたため、KG主催者の配慮により「KG+SELECT」会場での展示となった本作は、巨大な開発計画に当事者として直面した作者が抱いた不…

【写真展/KG+SELECT】(後半)⑥藤井ヨシカツ、⑦吉田多麻希、⑧山本郁、⑨フレデリック・メリー @三条両替町ビル

「KG+SELECT」2021の後編、全9組中4組をレポート。後編は、⑥藤井ヨシカツ、⑦吉田多麻希、⑧山本郁、⑨フレデリック・メリー を紹介する。 なお、10/16(土)夕方、「KG+SELECT 2021 "Grand Prix by GRAND MARBLE”」、今年度「KG+SELECT」最優秀賞として、吉…

【写真展/KG+SELECT】(前半)①ルル・ダキ、②鈴木萌、③高木佑輔、④苅部太郎、⑤林田真季 @三条両替町ビル

「KYOTOGRAPHIE」サテライト展示「KG+」の中でも、審査委員会の審査を経て選抜された作家によるグループ展示が「KG+SELECT」だ。これまでは元・小学校の校舎を会場としていたが、今回は急遽変更になり、KGインフォメーションセンターの入った「三条両替町ビ…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(9)_⑮アニエスベー「Les Drôlesses」@BAL LAB(京都BAL 4階)

あのアニエスベーです。ブランド「agnes b.」の創始者ですよ。 絵のほうはフランス人美術家クレール・タブレ(Claire Tabouret)の作品で、その肖像画で着せ替えをした写真がアニエスベーの作品である。小さいコーナーだが、2020年春の新型コロナ禍・ロック…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(8)_⑭榮榮&映里(ロンロン&インリ)「即非京都」@琵琶湖疎水記念館

「KYOTOGRAPHIE」本体プログラム⑭・榮榮&映里(ロンロン&インリ)は、蹴上、南禅寺のあたりに位置する「琵琶湖疎水記念館」で催された。KG本体プログラムの中で一つだけ離れた会場だったが、記念館の屋内外のスペースを大胆に用い、他の展示と別格のスケールで展…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(7)_⑫トマ・デレーム「Lēgumineux 菜光 ―ヴェルサイユ宮殿の古代種―」、⑬八木夕菜「種覚ゆ」

KYOTOGRAPHIE 2021プログラム⑫トマ・デレームと、⑬八木夕菜の展示は「建仁寺」内の「両足院」で開催された。どちらも植物の「種」に関する作品である。暮らしの中で流通している野菜や果物について顧みる機会となるだけでなく、「和」の建築空間に「写真」が…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(6)_⑩リャン・インフェイ(梁莹菲)「傷痕の下」、⑪ディヴィッド・シュリグリー「型破りな泡」

KYOTOGRAPHIE本体プログラム、祇園の北西エリアにあたる三条~四条のビル(Sfera、ASPHODEL)で展開された2つの展示を紹介する。 ⑩リャン・インフェイ(梁莹菲)は性暴力サバイバーの証言を基にした作品、⑪ディヴィッド・シュリグリーはシャンパンメーカー…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(5)_⑨ンガディ・スマート  a)「多様な世界」、b)「ごはんの時間ですよ」

南アフリカ・シエラレオネ出身のンガディ・スマートは、フライングタイガー河原町店の3階と、出町桝形商店街(アーケード、「DELTA」)の2カ所でそれぞれ展示を行った。 前者は更に3つの小テーマから構成され、ドキュメンタリーからコラージュまで幅広く…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(3)_③MIRRORS Manga meets CHANEL Collaboration with 白井カイウ&井水ぽすか

今年のKYOTOGRAPHIEの中で、最も「これ、ほんまにどうなるんやろう…」と勝手に危惧していたのが、この展示。 CHANELとマンガのコラボ、しかも『約束のネバーランド』作者(白井カイウ×出水ぽすか)という、それたけで完結しそうな組み合わせ。企画としてはい…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(2)_②MEP Studioによる5人の女性アーティスト展 ―フランスにおける写真と映像の新たな見地

KYOTOGRAPHIE 2021・プログラム②は、パリの「MEP Studio」(ヨーロッパ写真美術館)との共同企画として選出された、5名4組のフランス人若手女性アーティストによるグループ展だ。 それは「写真」に止まらず、激しく濃い色の写真もあれば、物語・空想を紡ぐ…

【写真展/KG】KYOTOGRAPHIE 2021(1)_⓪インフォメーション、①アーウィン・オラフ『アヌス・ミラビリス ―驚異の年―』

新型コロナ禍2年目の2021年、昨年に引き続いて秋開催となった「KYOTOGRAPHIE」本体プログラム(以下、【KG】と記載)を巡っていきましょう。まずプログラムNo.⓪と①を紹介。 第9回目のテーマタイトルは『ECHO』(エコー)、人間界のあらゆることは自然界、地球…

【ART】R3.8/31~9/18_福田真知「Closed Eyes ー眼を閉じてー」@The Third Gallery Aya

眼を閉じて、瞼の裏に浮かび上がる闇と像を油絵で描いた本作は、写真機の介在できないゼロ距離での「見る」行為や現象を可視化したものだった。心象光景ではなく、具体物もない、色と明暗の中にある視界である。生理的印象派、という造語が思い浮かんだ。 【…

【ART】R3.9/7~9/25_森栄喜「シボレス|鼓動に合わせて目を瞬く」@Calo Bookshop & Cafe

影が街の中でコミカルに動きを見せる。誰に向けてそれは放たれているのだろうか。誰にも向けられてもいないのだろうか。誰がキャッチするのだろうか。公の空間に投げ込まれた影と信号が、人のいなくなった都市に響く。 個人が支払い続けている犠牲としての公…

【写真展】R3.9/2~9/15_ 志岐利恵子「山里譚」@ニコンプラザ大阪 THE GALLERY

奈良県の吉野郡川上村を主として、山間部で暮らす人たちの生活が写されている。山と風と川が豊かな自然をもたらす「奈良」のポテンシャルの深さが伝わる展示だが、自然とともにある生活は、信仰=神様と隣り合わせの暮らしであった。そして同時に、そこはシ…

【写真展】R3.8/27~9/7_千賀英俊「HOMI」@gallery 176

昭和の古い団地を背景に、南米系の面立ちの人々がいい顔で写っている。ブラジルをはじめ南米からの出稼ぎ労働者が多く住まう、愛知県豊田市の「保見団地(ほみだんち)」である。 作者は約20年にわたってこの団地を撮影してきた。写真は静かに提示され、人々…