nekoSLASH

ねこが超です。主に関西の写真・アート展示のレポート・私見を綴ります。

【映画】フィル・メッキー監督「DREAMS ON FIRE」@シネ・ヌーヴォ

夢 × TOKYO × ダンス、ダンサーになりたいという夢を叶えるために上京して、夜のTOKYOに揉まれながら、逞しく成長してゆく少女の物語。が、想像以上に粗くいびつな、良さと悪さが極端な映画だった。

 f:id:MAREOSIEV:20210605122422j:plain

続きを読む

【映画】監督:キム・ミレ「狼をさがして」@九条シネ・ヌーヴォ

1974年「東アジア半日武装戦線」という名で企業のビルを爆破した集団がいた。今では隔世の感のある話、その当事者らの「現在形」を追うドキュメンタリーである。浮かび上がってきたのは、当時のことを語らせないかのように閉じ込める警察権力の姿だった。

 

f:id:MAREOSIEV:20210530112025j:plain

続きを読む

【写真展】R3.5/25~6/6_熊谷聖司「眼の歓びの為に 指の悦びの為に この大いなる歓喜の為に わたしは尽くす」@ギャラリー・ソラリス

休みなく精力的に活動し続ける写真家・熊谷聖司、その姿は常に背中しか見えない。だが作品には幸いにもその「眼」が正面から捉えたものが写されている。

 

本展示に先駆けて、2021年2月に同名の写真集が刊行され、同時に東京・吉祥寺の「book obscura」でその記念として展示が開催されていた。新型コロナ感染拡大と緊急事態宣言ばかりの2021年だが、そんな中で大阪でもフォローアップしてもらえたのは幸運だった。

 

写真集、展示と、5/28(金)晩に催されたトークイベント『眼の歓びについて』の内容を踏まえてレポート。

 

f:id:MAREOSIEV:20210530113511j:plain

f:id:MAREOSIEV:20210530105413j:plain

【会期】2021.5/25(火)~6/6(日)

続きを読む

【映画】堀貴秀監督『JUNK HEAD』@第七藝術劇場

お馴染み定番のSF世界の設定に、味のあるストップモーションアニメの風味、執念の手作り迫力、細部の超絶クオリティ。

だけではない。

話が進んでもずっと脆弱なボディのままの主人公、そしてクエストが「上へ」ではなく底なしの「下へ」と落ちてゆくことが、非常に示唆的な作品でした。

 

f:id:MAREOSIEV:20210514201151j:plain

 

続きを読む

【写真展】R3.5/11~5/16_加藤俊樹「失語症」@gallery solaris

美しく強い光が差し、写真は生命力に満ちている。 脳出血により失語症に陥った作者が、入院中から撮り溜めてきた写真と、言語リハビリで絞り出すように何度も書き付けた言葉と図が並置されている。

文字と図は、普段私達が使っている記号・道具ではなく、生々しい身体性を反映していた。圧巻の展示だった。

 

f:id:MAREOSIEV:20210515221245j:plain

【会期】2021.5/11(火)~5/16(日)

続きを読む

【写真展】R3.5/7~5/20_木村和平「あたらしい窓」@I SEE ALL

大阪・本町のセレクトショップ「I SEE ALL」横のギャラリースペースで展開される、木村和平の写真展。何気ない日常や親密な人を撮ったように見える写真には、何が写っているのだろうか。

 

f:id:MAREOSIEV:20210515220830j:plain

【会期】2021.5/7(金)~5/20(木)

続きを読む

【映画】ウルリヒ・ザイドル監督「サファリ」@第七藝術劇場

世界的に非難の嵐を巻き起こした「トロフィー・ハンティング」の内側へ入り込んだドキュメンタリー映画。当事者であるハンター、ロッジのオーナー、そして雇用されている現地人に密着し、それぞれの立ち位置を映し出す。

ハンティングは悪なのか? 本作はハンティング=野生動物を銃で撃つこと、その前後の状況も含めて、写真のように静かに映し出している。

 

f:id:MAREOSIEV:20210515093646j:plain

続きを読む

【映画】黄インイク監督「緑の牢獄」@第七藝術劇場

橋間良子(はしま よしこ)という、西表島に住む90歳近い「おばあ」の語りによって紡がれる映画。

橋間おばあは1926年の台湾出身だが、1937年に祖父らに連れられて沖縄県西表島へ移住する。一家はその後、西表炭鉱と、そして西表島と運命を共にする。 

 

f:id:MAREOSIEV:20210502144127j:plain

続きを読む

【写真展】R3.4/23ー5/3_坂東正沙子「Aerial」@gallery 176

タイトル「Arial」とは「air」の形容詞で「空気の、大気中の」といった意味を持つ。ステートメントでは『確かに在ったという空気感だけを、私は握りしめているようだ。』と綴られている。スナップ写真群から、「私」=作者が何を掴もうとしていたのかを辿ってみる。

  

f:id:MAREOSIEV:20210501183742j:plain

【会期】2021.4/23(金)~5/3(月)

続きを読む

【写真展】R3.4/2~4/30_清水穣キュレーション「showcase #9」"visions in and out"(岡本明才、佐藤華連)@eN arts

写真評論家・清水穣(しみずみのる)氏のキュレーションによるグループ展「showcase」。9回目となる展示は、ピンホールカメラの原理を用いて光と像を操る岡本明才(おかもとめいさい)氏と、自分の内面を投影した夢のような風景を表す佐藤華連(さとうかれん)氏の二人展。

 

写真は見づらいけど外からギャラリーを見たところ。展示スペースが入口扉からの通路になっている。

f:id:MAREOSIEV:20210418215157j:plain

 【会期】2021.4/2(金)~4/30(金)

続きを読む

【ART】R3.3/13~5/9_「植松奎二 みえないものへ、触れる方法――直観」芦屋市立美術博物館

重力や質量、斥力など「科学」の世界は目には見えない。しかし今・そこに・常に働いていて、この有象無象のものどもに作用し、「世界」としての形と確かさをもたらしている。

美術家・植松奎二(うえまつ けいじ)の配置・構成するオブジェはどれもとてもシンプルで、それゆえに科学の力の働きと秩序を引き出して、眼前に、透明なまま現す。

 

f:id:MAREOSIEV:20210425172545j:plain

2021.3/13(土)~5/9(日)

続きを読む

【ART】R3.3/20~5/30_ミケル・バルセロ展 @国立国際美術館

ミケル・バルセロ。初めて聞く名前だ。

ホームページ等で出回っている広報画像と、実物の体験が違いすぎた。当初は、自然のパワーと個人の感情を掛け合わせた、やや古風な絵画だと思っていた。違った。刻々と移ろう自然の動態と、変遷を経てきた美術史とが1枚の中で力強く結び付いていた。絵の一部が生き物のように立体化しているため、生で観ないとポテンシャルが掴めない。

 

f:id:MAREOSIEV:20210424222139j:plain

【会期】2021.3/20(土)~5/30(日)

続きを読む